第4話 アイカの不満(16)
男性ならば、というか? 漢ならば、元己の物、財産、宝だと思っていた。
と、いうか。今でもウォン自身は、己の心の奥底で思っている。
「(アイカは、今でも俺の物だ。あのチビ。あの小さな異世界からきた侵略者……。俺とアイカの二人だけの小さな幸せを踏みにじり。台無しにした。あのクソガキ、チビの物ではなく。今も俺の物、妃だ。アイカは……)」と。
己の唇、奥歯を噛みしめながら、ウォンは思い。思っているから。このような不満。
そう、此の国の女王アイカに、両国の覇王。異世界人の健太を亡き者……。彼を策、謀略を使用、駆使して謀殺、誅殺する為謀反をしよう。おこなうと誘う。
ウォン自身が未だ己の物だった女王アイカのことが好き。未だ諦めることができないでいるし。今後も安易に、彼女のことを忘れることなどできないだろうと思う。
漢……。いや、ウォン自身にも、オスとしての意地とプライドもある。
だから健太──。他人、他のオスに己のメスを力づくで、奪われたのだから。己の物だったメス。女王アイカを自身の手元に取り戻さないと気が済まない。済まないのだ。
だから女王アイカに対して、現男王である健太への謀略、謀殺、誅殺、天誅、謀反を誘うのだ。
それも?
『アイカ、お前も、あのチビではなく。未だ俺の事が好きで。俺の事を忘れること等できないだろう? あれほど俺達二人は愛し合ったのだから』
とでも言わんばかりというか?
ウォンは言いたい顔、様子、素振りで。己を拒否し続ける。女王アイカを更に強く抱き締めこの中──。小さな戦車の中で強引に彼女を押し倒し。再度己の物とし。ないないづくしで彼女に、『うむ』、『うん』と頷き。頷く。頷かす。
そう、今の男王である健太への反逆。謀反に手を貸せと、国内の主だった者達への根回しも頼むとせがむ、嘆願をしようと試みる。