第4話 アイカの不満(15)
更にこんな台詞もつけ加えてだよ。
「もうあなた……。いや、ウォン。もう貴方の事をこの国の漢王と崇め敬い慕う女達……。此の国の中に多々ある集落、町、領地のアマゾネスの長、族長や酋長、領主達の中で、貴方を慕い。命を投げ出してでも守護……。心から守りたいと思う。アマゾネス達は一人もいない……。そう、いないのよ……。それに? いたとしてもアマゾネスではなく。貴方の優れた武と優に惚れ込んで従っている。此の国では大変に数少ない貴方のような。男性の族長や酋長、領主だけだと思う……」と。
此の国の女王アイカは、己の両手で元カレ、婚約者。主であったウォンを、己の両手で力強く拒みながら。彼に今の現実を説明するのだが。
彼女の説明はこれだけでは終わらない。終わらないようだ。
だって此の国の女王アイカは、更に悲痛な表情をしながら己の唇──。
今自分が拒み続けている男性。ウォンの唇と舌で濡らされ艶やかに輝く己の唇を開き──。
「だからウォン~。変な気だけは起こさないでお願い。お願いだから~。健太(あのひと)の温和な処置……。そう今の健太(漢王)は。ウォン、貴方を処刑にして首を差し出せとは、健太(あのひと)も言ってこないし。女王である私にも夜の床の中であろうとも申してこない。下知をくださないのだから。ウォン、貴方は今の立場、現状……。それを満足。満足して欲しい。お互いの為にも。お願いだから……」と。