101 泉のじぃじ
水の妖精さんたちの案内で、どんどん深いところに進んでいます。
周りがどんどん青くなってるんだけど、暗くないんだよ~。不思議!
「ふぁ~きりぇ~」
『真っ青だね~』
キラキラだね~
きれいだね~
『……』
ギン様やっぱり変だね~
ずっとだまってるね~
相変わらず変なお顔のギン様。サーヤとハクはお顔でもお話しています。
『もうすぐだよ~』
『じぃじたちいるかな~』
『きっといるよ~』
『いつも寝てるもん~』
妖精さんたちはさっきから、じぃじたちって言ってます。もうすぐ会えるって。
『じぃじって人どんな人かな~?』
「にぇ~♪たのちみ~♪」
じぃじっておじいちゃんのことだよね?
『しかも、たちって言ってるね~』
「じぃじいっぱいかにゃ?」
『どうだろね~?』
どんな人がいるのかな~?
『う~ん、間違いなさそうだな…違って欲しかったが…』
ギン様がなんかぶつぶつ言ってます。
ハク~、ギン様やっぱり~?
うん。なんか知ってそうだよね~?
『あそこだよ~』
『ついたよ~』
『お~い』
『じぃじ~』
『『『『きたよ~!』』』』
水の妖精さんたちが教えてくれます。見えてきたのは洞窟?みたいな穴です。どうやらじぃじたちはそこにいるみたいです。すると
『何事かの?妙な気配もするの』
のんびりとした少ししわがれた声が中から聞こえてきました。
『お客さんだよ~』
『愛し子様のサーヤと~』
『森の主様と~』
『ハクだよ~』
その声に妖精さんたちが答えると
『何?愛し子様と言ったかの?』
そう言いながら出てきたのは…
亀さん?
違いました。なぜか頭の上に可愛い亀さんを乗っけた足がお魚のお馬さんでした。
「ふわぁ~あああ」
見たことのないお馬さんと可愛い亀さんにサーヤの目はキラキラです。
『やはりか…久しぶりだな。ケルピーのじじい。最近水辺で見かけないと思ったらこんな所にいたのか。相変わらず亀じいと仲良くしてたのだな…』
ずっと黙ってたギン様がやっとお話してくれたと思ったら…
「ほえ?ぎんしゃま?」
なんかいつもと?
「お父さん?なんかいつもと違う~?」
やっぱり?なんか違うよね?
『誰かと思ったらフェンリルの小僧かの。水辺はお主たちがうるさいからの。ここは静かで良い。それに亀は静かだしの』
あれ?お馬さんもギン様知ってる?
『小僧?小僧って子供って意味じゃないの~?お父さんは、ぼくのお父さんだよ~?』
ハクがお父さんだから小僧じゃないよ?って不思議がってます。
『ん?なんと小僧が生意気に親になっていたのかの』
お馬さんがちょっとビックリしてます。
『初めまして~。ぼく、ギンお父さんの息子のハクです。サーヤのおかげでホワイトホーリーフェンリルになったんだよ。よろしくね~』
ハクがお馬さんにご挨拶します。
『ほっほ。父親と違ってしっかりした坊《ぼん》だの。よろしくの。して、サーヤとはそちらの?』
お馬さんがサーヤの方を見ました。
『坊じゃないよ、ハクだよ~。この子がね愛し子のサーヤだよ~ 』
ハクはしっかり違うよって言いつつサーヤのことも紹介してくれます。
「はじゅめみゃちちぇ!さーにゃ…や!でしゅ!よりょちくおにぇがいちみゃしゅ」
サーヤもハクを見習って頑張ってご挨拶です!
『「初めましてサーヤです。よろしくお願いします」って。サーヤはね、おしゃべりがまだ上手じゃないんだ~。これから練習するんだよ~。ね~?』
ハクが通訳してくれます。
「あい!がんばりゅにょ!」
お名前早く言えるようにならなきゃ!
『ほっほ、そうかそうか。ご丁寧にありがとうございますじゃ。愛し子様。おしゃべりはゆっくり上手になれば良いのですよ。私はケルピー。名はございません。永らくこの泉に住んでおります故、じぃじなど呼ばれておりますがの。この亀は私の友人ですじゃ』
じぃじと亀さんはやっぱり仲良しなんだね!
「あい!さーにゃでしゅ。かめしゃんみょ よろちくにぇ!」
お馬さんじゃなくて、ケルピーさんが自己紹介してくれて、亀さんがゆっくり手を振ってくれました。なので、負けずに手を振ります!ぶんぶんっ
『わっわっ サーヤあぶないよ』
あっ。ハクを叩いちゃうとこでした。
「ごめしゃい」
『ほっほ。元気な愛し子様ですの』
「さーにゃ!にゃにょ!」
『あのね~、サーヤは仲良しにはサーヤって呼んで欲しいんだよ。だからサーヤって呼んであげて~。じゃないとサーヤ怒っちゃうよ~。ね?』
「あい!」
さすがハクです!
『ほっほっ。もう仲良しと思ってくださるのかの?嬉しいですの。では、サーヤ、今日はどのようなご要件でこちらに?』
「う?」
ごよーけ?どういう意味かな?
『じじい、サーヤはまだ二歳だ。わかりやすい言葉を使え』
ギン様?言ってくれてるのは嬉しいことなんだけど、やっぱりなんか変?言い方が?
『お父さんてばどうしたの~?だめだよ~年上の人にはちゃんとしないといけないんでしょ~?ごめんね~えっとぉ』
『うぐ』
やっぱりギン様いつもと違うよね?ハクが代わりに謝ってます。
『おぉハクはいい子だの。父親より大人じゃ。ほっほ。こやつの態度は気にせんで良いからの。こやつのことは昔から知っとるんじゃ。わしのことは「じぃじ」とでも呼んどくれたら良いぞ。妖精たちも「じぃじ」と呼んでおったじゃろ?』
じぃじいい人…ん?いいお馬さん?です!やっぱりギン様お知り合いだったんだね~。
『わかったよ~。じゃあ、じぃじ。サーヤには普通に話してあげて~ その方が嬉しいんだって~』
そうだよ~。
『そうかのそうかの。では、サーヤ、今日はどうしたのかの?』
「あい!えちょにぇ~いちちゃん、しゃがちにきちゃにょ~」
じぃじが簡単にしてくれたから今度はちゃんとお話分かったよ!
『石かの?』
なんの事だ?ってお顔が言ってます。
『じぃじ~』
『サーヤたちね~』
『空の魔石』
『必要なんだって~』
『『『『ある~?』』』』
水の妖精さんたちが聞いてくれました。
『空の魔石?』
「あい!」
石ちゃん、あるかな?
『空の魔石?そんなもの何に使うのかの?』
不思議そうにしているじぃじを見てハクが
『サーヤ、見せてあげたら~?』
『そうだね!』
『きれいだし!』
『じょうずにできたし!』
『見せてあげて!』
きっとその方が早いよ!と、ハクと妖精さんたちが言うので、
「あい!どうじょ!」
と見せてあげました。このお洋服のポッケとっても頑丈です!
『ほう。サーヤの魔力を込めたのかの』
じぃじが石ちゃんをしげしげと見てます。
「あい!」
頑張ったよ!
『ふむ。綺麗に入れられたの。小さいのにすごいの』
と、褒めてくれました!
「えへへ~♪ほんちょ?いしちゃん、ごはんあげちゃ!」
ジーニ様にご飯のあげ方教えてもらったんだよ!
『ほっほ。ご飯かの?それはいいの!この石も満腹のようだの』
「あい!もう~い~よ♪ゆっちぇ、ごちしょうしゃみゃちた!」
『ほう?ご馳走様とな?石の声が聞こえたと言うのかの?』
じぃじのお目目がまん丸になりました。
「あい!しょりぇじぇにぇ、はくちょ、さーにゃ、ほかのいしちゃん、いれちゃ、めっ!ゆわれちゃにょ」
『そうなんだ~。サーヤはね、クゥとフゥの石は見つけられたんだけど、ぼくと、それからぼくたちのお友達はダメって言われたらしいんだ~』
ふたりでしょんぼりです。
『『元気だして~』』
『『大丈夫だよ~』』
水の妖精さんたちがサーヤとハクの頭をなでなでして慰めてくれます。
『ふむ。それはこの石より小さいものだの?』
さすがじぃじ。立ち直りも早ければ、察しも早いです。年の功?
『その通りだ。魔神ジーニ様がおっしゃるには、サーヤにもあといくつか必要な気がするのだが、サーヤにもハクにも、それからサーヤに名をもらった者たちは手元に残った石では小さすぎるそうなのだ』
ギン様が説明してくれます。
『そうであろうの。見たところ二人ともなかなかの魔力量を持っているようじゃ』
うんうんとじぃじが頷きます。頭の上の亀さんよく落ちないね?
『それとな、今ジーニ様は森の者全てに魔法を教えてくださろうとしている。その際に空の魔石を利用して何かあった時に助けとなるアイテムを作ろうと考えられたのだ。訓練にもなるしな』
ギン様がジーニ様がしようとしていることを説明してくれると
『なるほどの。魔法具にしようというわけだの。確かに理にかなっておるの』
さすが魔神様じゃの。って感心してます。でもね?きっかけは
「はくがにぇ~、さーにゃ、まちょ、もっちゃいにゃい、ゆっちゃにょ~」
『ん?魔素がもったいない?』
じぃじがまた不思議そうなお顔してます。
『だってね、すごかったんだよ~?ぼぼぼぼぶわーーって!サーヤから溢れてたんだよ~。貯めておかないともったいないでしょ~?』
ハクがほんとにすごかったんだから~って言うと
『そうなの?』
『ぼぼぼぼ?』
『ぶわー?』
『見たかった~』
水の妖精さんたちが見たかったって
『う~ん、見るのは危ないかな~?サーヤなんて自分の光に目をやられちゃって~、ぼくたちより地面ゴロゴロしてたんだよ~』
『『『『ええ~?』』』』
「うにゅ~」
だって~眩しかったんだもん!
『ほっほっ。ハクはまだ赤んぼだろうに賢いの。そうかそうか。しかし、魔神様までいらしておられるのか…』
じぃじがギン様をじっと見ます。
『ああ。先日まで主神様もおられた。今はエンシェントドラゴン様と精霊樹の精様もいらっしゃる』
ギン様が地上のことを話すと
『どおりで地上が騒めいとるはずだの。それだけの方々がおられるなら、わしらもご挨拶に伺わねばの…』
すごいね、じぃじお水の中にいるのに分かるんだ!
『…ああ。不本意だが、頼む』
ブスッとしてギン様が答えます。
「ん~?ぎんしゃま、やっぱち、ちやう?」
『そうだよね~?いつもと違うよね』
ギン様がじぃじの前だといつもと違います。どうしてかな?仲悪い?仲良しがいいなぁ。
『ほっほ。それはのぉ~わしらがこやつの童子の頃から、それこそ産まれる前から知っておるからだの。ほんにどうしようもない、いたずらっ子での。わしらに色々知られてるのでバツが悪いのじゃよ』
楽しそうにじぃじが教えてくれました。
「ふお?」
『じぃじ、お父さんの小さい時知ってるの~?』
ギン様のちっちゃい時?
『お~。よ~く知っとるよ』
ほっほ。って、とっても楽しそうです。
『そのお話聞かせて~!』
「さーにゃみょ!ききちゃ~い!」
『『きゃはは!』』
『『聞きた~い!』』
キラキラお目目でお願いです!ギン様のちっちゃい時すっごく気になるよね!
『おい!じじい黙れ!二人も、妖精達までそんなこと知らなくていい!』
あっギン様、お顔赤い?
「『え~~』」にやにや
『『『『ええ~』』』』にやにや
ギン様、照れてる?焦ってる?
『ほっほ。あとで聞かせてあげようかの』
「『やっちゃ(た)~』」
『『『『やったね~』』』』
わ~い!約束だよ!
『じじい!やめろ!』
ダメだよ~約束したもん!
みんなでワイワイしてたら
『こらこら。いいかげんにせんかのぉ。石はどうするのだ。探しに来たのじゃろう』
と、突然ゆ~っくり低い声が聞こえました。
「うにゅ?」
『だぁれ~?』
どこから聞こえるの?ハクと二人でキョロキョロすると
『ワシじゃよワシ。目の前のぉ亀じゃよ』
「ほえ?」
『え?』
どうやら声の主はじぃじの頭の上の亀さんのようです。亀さんもおしゃべり出来たんだね。