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翌日、わたしはリサの家に向かうために一緒に歩いていた。

今日は前回の事があるので、わたしの家には帰りが遅くなることを伝えてからリサの家に向かっている。同じ失敗は繰り返さないように努力することは大事な事だと思っているので、努力は惜しまない。それにこの話がうまくいけば、今後も同じ事は繰り返されるはずだ。その時に信用が無ければ外出はしにくくなるはず。それは困るので今から手を打っておきたい。地道な努力は必要なことだ。



隣を無言で歩くリサを気にしながら宿屋へ向かう。会話もなく歩いたせいか、リサの家が見えてきた。



「ただいま」

「こんにちは」

わたしとリサは違う言葉を発しながら家の裏口を潜る。表側は宿屋の玄関なので裏側に家族は裏口を使うのは普通の事だった。

裏口を潜ると直ぐに家族の生活空間になる。その中にわたしはお邪魔している。

「いらっしゃい、パルちゃん」

「こんにちは、おじさん。お邪魔します。この間の話の続きにお邪魔しました」

「ああ。わかっているよ。どうぞ」



わたしは先日と同じ居間に通された。そこにはおじさんとリサのお母さん、とお兄さんがいた。リサだけはいなかった。わたしが居間に行くと同時に部屋に上がって行った。私多分初めから部屋に行くように言われていたのだろう。初日もそうだったの今回も同じようにしているのだと思う。

わたしの前におじさんとおばさん、一人のイス、わたしの横にはリサのお兄さんが座る。わたしをL字で囲む感じだ。

こんな感じで座ると少し緊張する。本格的にコンサルの話をする感じになる。

三人にわからないように息を細く吐く。緊張は緩まないが自分の中をリセットはできる。

この場はわたしから話を始めるべきだろう。



「今日はお時間をいただいてありがとうございます。おじさんの方から話を聞いていると思いますが、改めてわたしからもお話をさせていただいてよろしいでしょうか?」

「あ、はい」

おばさんがわたしの話し方に驚いた様子だ。リサの友達としてしか認識をしていないので、こんな話し方をされるとは思っていなかったのだろう。リサのお兄さんにいたってはポカンと口を空けていた。しかし、そこに気を取られていては話しは進まない。

お兄さんやおばさんはマルッと無視してこのまま話を進めていく。



「おじさんから話を聞いた内容では、最近宿屋のお客さんが減少傾向だと。原因は近くにできた新しい宿屋が原因ではないかとの事でした。いくつか打開策は提案させていただきましたが、できればお客様の反応に合わせた改善策が一番良いと思います。そういった経緯がありますので、ご家族様からもお客様の反応を聞いてくださいとお願いしていました。その上での今日の場を作っていただいた、ということになります。ご家族でお話はされていると思いますが、改めてわたしにもお話を聞かせていただけたらと思います。よろしいでしょうか?」

「あの、パルちゃん?」

「はい。何でしょうか?」

「あの、話し方、いつもと違うんだけど。なんか、恐いかな」

「でも、今回は仕事としてお話させていただいてるので、区別は必要だと思っています」

「あ、はい」

お兄さんからわたしの話し方がいつもと違うせいで、恐いと言われたが仕事なのでそこは変えるつもりはない。ダラダラしてしまうと公私の区別が付かなくなるのでかえってよくないと思うからだ。ケジメは必要なはずだ。話し方を変えるつもりのないわたしをお兄さんはビックリして見ていた。

そこもスルーしよう。

話が進まないほうが困るので、わたしは坦々と話を進めることにした。



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