93 ハクはすごい子!
フゥとクゥが自分の光にやられて
「めが~めが~」
と、ゴロゴロしているサーヤを助け起こしています。
『ほら、サーヤ』
『しっかりして』
よっこいしょってクゥが抱っこしてくれました。
「うにゅ~ めが~」
目が~目が~シパシパするよ~
きゅ?『なんでだろ?』
ぴゅ?『なんでだろね?』
『自分の光なのにね~?』
『『ね~』』
『『『ふしぎ~』』』
ちびっこたちが不思議だねって言ってます。サーヤも不思議です。
『でも、すごかったわね~』
『あの光はなんだったんだ?』
「うにゅ~」
フゥとクゥがサーヤをなでなでしたり背中ぽんぽんしながら、とにかく驚いたよなって言います。サーヤはまだ目をくしくししてます。
『はいりきらないの~』
『あふれてるの~』
『だだもれなの~』
妖精トリオが不思議の正体を教えてくれます。でもいまいちよく分かりません。そこで
〖体の大きさに対して魔力が多すぎるのよ。コントロール出来るようになれば自分の体に納めることもできるけど、今は難しいわね〗
ジーニ様が更に解説してくれます。
『あれだけの魔力が常に溢れてるって大丈夫なのですか?』
『体に悪いってことはないのですか?』
フゥとクゥは驚きながらもサーヤを心配してます。
〖大丈夫よ。体の中に入り切らないってことは、体の中には魔力がいっぱいってことだから〗
『そうですか』
『良かったです』
ジーニ様が大丈夫って言うなら安心だよね。
『でも~、もったいないよね~?』
ジーニ様の説明を聞いて突然ハクがもったいないと言い出しました。
『『え?』』
「うにゅ?」
〖ハク?〗
思いがけない言葉にフゥとクゥだけじゃなく、ジーニ様も反応しました。
〖ハク、もったいないって?〗
ジーニ様がハクに聞くと
『だって~それだけ溢れてたらもったいないよね~?もし何かに貯めておけたら、何かあった時に役に立つと思わない~?例えば~万が一魔力切れになった時とか~?』
ハクが首を傾げて『ん~』ってしてます。
〖え…〗
ジーニ様はそれを聞いてびっくりしてます。
ぴゅい~『そっかぁ。おけがしたときとか~?』
きゅいきゅい『たくさんつかうときとか?』
ハクの言葉で双子もそうだよね~って、話し始めました。
〖『『…………』』〗
ハクと、更に双子の言葉に無言になるジーニ様とフゥたち。しばらくすると
『『確かに…』』
〖…………〗
フゥとクゥは何とか立ち直ったけどジーニ様がまだ固まってます。
『『ジーニ様?』』
それに気づいたフゥとクゥがジーニ様に声をかけると
ぶつぶつぶつぶつ…
ジーニは様は固まってるけど何かぶつぶつ言ってるようです
『『ジ、ジーニ様?』』
フゥとクゥがジーニ様を見ると、ジーニ様が考え込むように何かぶつぶつ言ってます。はっきり言って怖いです…
〖そうよ、なんてもったいないことを…空の魔石をアクセサリーにして貯めてもいいし、他にも…いくらだって……〗
ジーニ様のぶつぶつが止まりません。
「うにゅ?」
ぴゅ『クゥ~』
きゅ『フゥ~』
『ぼ、ぼくたちなんか変なこと言っちゃった~?』
ハクと双子が、自分たちのせいでジーニ様が壊れたって心配してます。
『だ、大丈夫じゃないかしら?』
『あ、あぁ 多分…?』
フゥとクゥが安心させようとしてるけど、その答えは不安しかないと思うよ…
みんなでジーニ様の様子を伺っていると、ぐりんっとジーニ様のお顔がこっちを向きました。
『『ひっ!』』
「ふあっ?」
『わあっ』
ぴゅきゅっ『『ひゃっ?』』
みんなでビクビクです。
〖うふふ。やぁねぇ何そんな顔しているの?あなた達、ものすごくいいこと言ってくれたわ!ありがとう!〗
ジーニ様が何かすっごく嬉しそう?それで、メラメラ?何か迫力が?
『い、いえ』
『あの…』
『どういたしまして~?』
ぴゃきゅ『『でしゅ』』
「でしゅ」
みんな、意味わからなくて言葉が変です。
〖そうよ、魔力を貯めて引き出せる物を作ればいいのよ。ああ、何で今まで気づかなかったのかしら?サーヤだけじゃなく全員の日課にすれば練習にもなるし、万が一の保険にもなる。いいことづくめだわ。どういう形にするかは鍛冶神と相談ね…アクセサリーなら工芸神の方がいいかしら…〗
後半がまた独り言のようになっていきます。そして思いついたように
〖ギン、この辺りに空の魔石が沢山取れるところはある?〗
今度はギン様に向かってお顔をグリンっと
『は、はい?空の魔石ですか?それでしたら泉の底にあったかもしれません。ただ、小さいものがほとんどで数はどのくらいあったかは…』
ギン様が突然の質問に戸惑いながらも答えると
〖そう〗
と言ってジーニ様はまた考え始めてしまいました。が、そこにまたしても
『お父さん、お父さん。泉の中なら水の妖精さんに聞いたらぁ?仲良くなった妖精さんなら教えてくれるかも~?』
〖え?〗
『ハク?』
またしてもハクが発言!
『ね~?サーヤ?』
「あい!」
ハクがすごくできるいい子です♪
〖ハク…ほんとにあなた頭のいい子ねぇ。すごいわ〗
ジーニ様が感心しすぎて少しぼーっとしてます。
『えへへ~ほんと~?』
〖ええ ほんとよ〗
立ち直ったジーニ様が、ハクの頭をなでなでします。ハクのしっぽもぶんぶんしてます。気持ちよさそう~。
サーヤはその様子を見て、こそこそとジーニ様の側へ行きます。そしてハクを撫でているのとは反対の手の下に入り込みます。気づいたジーニ様が
〖サーヤどうしたの?〗
と聞くと、照れたように
「えへへ~」
と笑って頭をぐりぐり擦り付けます。サーヤの意図に気づいたジーニ様は感激して
〖サーヤ~!なんて可愛いの~!〗
と言いながら抱きしめて撫でくりまわしてくれます。嬉しいけど、ちょっと苦しい、失敗したかも?と思ったことは内緒です。
『バレてるよね~?』
ぴゅ『おかおに』
きゅ『でまくってるよね~』
『『秘密って』』
『『『むずかしいんだね~』』』
ちびっこたちにはバレバレです。