掌編
部活動、それも運動部と言われる部活。彼ら、彼女らの中でプロを目指すのは極僅か、そして、実際プロになれるのも極僅か、そんな彼らが最後の予選へ向かう。
最後まで残れるのはたった2校そして最後まで勝ち続けられるのはたったの1校。
何千、何万とある学校が敗れる。環境、設備、活動時間、それぞれバラバラで、朝から晩まで練習しているとこもあれば、1日3時間しかできないとこもある。
1校1校やり方が違い、そのやり方に沿って彼らは全力で取り組む。
中には楽しければそれだけでいい、そんな人もいる、その中に真剣にやっている人もいて、真剣にやっている彼らは手のマメが潰れても、足の皮が剥がれても、疲労骨折していても学校生活最後の大会だけはどこが痛くても顔色変えずに出場し全力でプレーをする。
それほどの覚悟で出場しても、最後まで勝つのはたった1校。そして、優勝したとしても優勝校の出場メンバー全員がプロにはなれない。敗れていった高校のライバルたちと同じように大学へ行ったり、就職したりする。
大会で目立った選手は報道され、注目される。確かに目立つほどの選手になれるのは言葉にできないほどの努力をしてきたからだと思う。
それでも彼らはたった1人で勝ち上がったわけじゃない、必ず仲間がいるから、その仲間が盛り上げれば盛り上げるほど彼らは輝き目立つ。
背番号を貰えた、貰えなかった、選手に選ばれなかった。じゃあ全く努力しなかったのか、そうじゃない、努力して努力して、敗れていった彼らがいたから、そして、試合中も敗れた彼らが盛り上げるから輝けるのではないか。
むしろ、彼らが主役なんじゃと思えるくらい彼らは声援で観客を巻き込み試合を盛り上げてくれる。
そんな彼らと共に挑んだとしてもたったの1校以外は敗れるのだ。
プロになれた彼らでもテレビで報道されるくらい活躍するのは極僅か、それでもどこかで這い上がれるようにもがいているのだろう。
プロにならなかった彼らも他に夢を持ったり、何かのために目立たない世界でもがき努力する。
どの世界へ行った彼らはその世界線で活躍しているが、みんな口を揃えて言うことは、
『高校の部活動よりは楽です』
僕らは部活動に青春を捧げた敗者たちも今はあの日以上に輝いているのだと自分の青春を思い出しながら語り合うのだ。