第4話 アイカの不満(7)
頼むから自分から離れてくれ、お願いだ。頼むよと、嬌声交じりで。と、いうよりも?
彼女の身分とは不釣り合いな弱々しい声音──。
もう今にも泣き出そうな、弱々しい声音で、他人の目と耳が気になる。なるとね。
だってもしものこと……。
そう彼女? 緑の肌を持つ麗しい高貴な女性のことなのだが。彼女が先程から漏らす台詞の『あのひと』に、この破廉恥極まりない様子。行為──。
彼女自身の意思ではなく。高貴な女性を守る。守護する筈の騎士(ナイト)であるウォンが、彼女の意思とは無関係に、優艶に行為、迫り。更に優艶さを要求してきたとして他人、あのひと以外のオス(者)に対して、艶やか官能的な容姿、様子、振る舞い。吐息と嬌声を漏らしたとなれば、緑の肌を持つ高貴な女性の立場、身分が危うくなる可能性がある。
……だけではないか?
緑の肌を持つ高貴な女性の命、だけではないね。
「(このまま、ウォン。このひとが私に対して、優艶に甘える行為を続け。続け続ければ。必ず露見……。この場の、この行為は周りにいる者達に気がつかれ。あのひとへと密告……。そうなれば? 私の命だけではなく。このひと……。ウォンの命も危うくなるから。このひとには、直ちにやめさせないと……)」