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 怒涛の年末年始のバー営業も無事に終わった。このあとはニューイヤー休み。三日間の連休。
 サシャは最終日の仕事終わりの日、自室のベッドに沈むなりほぼ丸一日眠り込んでしまった。それほど疲れていたのだ。
 目が覚めると朝になっていた。朝までバーが営業していて、帰宅したのが明け方なのでほんとうにほぼ丸一日で、起きても寝すぎてぼんやりしてしまったくらいだ。それでも、次の日はきちんと動いて溜まり込んだ家の仕事を片付けたり買い出しに行った。
 そしてシャイとも一度デートをした。入れ替わりのように今度はシャイのカフェの仕事が再開されたのだが、仕事始めに入った人々はあまりカフェに長居もしない時期だ。そう忙しくもないと言っていた。
 なのでサシャの休みの最終日。二人で出掛けた。
 とはいえ、サシャがあまりに激務のあとだったため、二日間の休養を経たものの、街中を歩いてランチをするなどといった軽すぎるデートであった。「スイーツビュッフェは、もう少し余裕ができてから行こうよ」とシャイは言ってくれたし、サシャも「そのほうがお腹いっぱい食べられていいわ」なんてやっぱり茶目っ気を出したことを言ったのだった。
 恋人同士になったのだ。歩くときにシャイは手を差し出してくれたし、サシャも僅かに恥ずかしくなったものの、すぐにその手を取った。
 しっかり手を繋いで歩く街中。今までとは見え方がまるで変わっていた。きらきらと輝くようなのだ。なにを見ても楽しい。

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