バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

91 ハクはまだ赤ちゃん!

勇者アルコン様とギン様のおかげで

〖こほん。さて、それじゃあ、空気中にも木々など色々な魔素があるのは分かってもらえたわね。次は自分の中の魔素、魔力の流れを感じてもらうわね〗

ジーニ様が戻って来ました。精霊樹の聖様は…
『うふふ。何かしらぁ?』にっこり
ぶるるっ…なんでもありません。いいお天気ですね。青いお空が眩しいです。

〖それじゃ、まず分かりやすく一般的な魔力がどう見えるか、見てみましょう。フゥ、クゥ、ハク、まずはこの三人、前に出て来て〗
ジーニ様が先生っぽく言います。

『え?おれ?』
『は、はい』
『な~に~?』
クゥとフゥは何で自分?みたいにワタワタしながら前に出てます。ハクは
『なにかな~?楽しいことかな~?』
ってご機嫌でしっぽふりふり、てってってっと弾むように歩いてます。わんちゃん版のスキップ?

〖はい。それじゃあ三人ともみんなの方を向いてね。今からあなたたちの魔力を可視化するわね〗

ジーニ様がそう言うと、三人の体が光出しました。

『う、うわぁ?』
『えええぇ?』
『あれ~?』

三人は突然の事に驚いてます。
クゥは薄い空色の、フゥは薄い緑色、いちばん不思議な色はハク。薄い水色と、濃い水色、そして銀色、それに黄色がチラホラ混ざってます。
三人の体から出てる光は不安定な炎みたいに強くなったり弱くなったりゆらゆらと光が揺れています。

『うわわわ』
『ええええ』
クゥとフゥはめちゃくちゃワタワタしてるけど、ハクは

『うわ~ぼく光ってるね~』
とってものんびりです。
『ぼくきれい~?』
とか言ってクルクルしてます。

「ほえ~?」
ぴゅいきゅい『『きらきら~?』』
『『色んな色~』』
『『『いつもこんなだよ~』』』
そうなんだ~。妖精トリオはいつも色んな色が見えてるんだね。

〖これが一般的な感じね。コントロールを習ったことのない子はこんな感じで焚き火の火みたいにゆらゆらしてるのよ。色は持っている属性の色ね。ハクはやっぱり属性が多いわね〗
ジーニ様が説明してくれます。
『ぼく色んな色~おもしろいね~♪』
「おもちろいにぇ~きりぇいにぇ~♪」
サーヤもあんな感じかな~?
『う~ん』
『サーヤはね~』
『ちがうんだな~』
妖精トリオが胸の前で腕組んで首振ってます。そうなの?どんな?

〖それじゃあ、三人とも魔力を体の中をめぐらせてみましょうか。全身をくまなく、かつ均一に〗にっこり
ジーニ様がとっても良い笑顔で言いました。有無を言わさずって感じのにっこりです。

『え?』
『均一?』
フゥとクゥは急に言われて、どうやって?ってやっぱりワタワタしてます。そんな中

『ねぇねぇジーニ様~?』
ハクがジーニ様を見上げてます。
〖なあに?ハク〗
『めぐらすってなぁに?きんいつってなぁに?』
〖え?〗

言葉の意味が分からなくて首をかしげて聞くハク。可愛い♪可愛いのに、なぜかギン様は『ハク…』って、ため息ついて、アルコン様はまた『くくくっ』て笑ってます。ジーニ様と精霊樹の精様は『〖あらあら〗』って言ってます。何でかな?

『仕方ないわよぉハクの成長は異例中の異例だものぉ。体はサーヤの名付けのお陰でちょっと大きくなったけど、まだ本来なら赤ちゃんでしょう?』
精霊樹の聖様はくすくす笑いながら、『まだまだ知らないことだらけよねぇ。ねぇ~♪』
ってハクをなでなでします。

〖そうね。うっかりしてたわ。聖獣とはいえ、ハクはまだ赤ちゃんだものね。きっと元からの素質が高くて無意識に魔法を使ってたんでしょうね〗
それはそれで凄いことだけどねって、やっぱりクスクスしながら言ってます。

『ジーニ様、ぼくダメなの~?』
心配になったのかハクが聞いてます。

〖いいえ。そんなことないわ。むしろハクはすごいってこと。それにね?知らなかったら、聞いて教わって覚えればいいのよ〗
ニコッと笑って続けるジーニ様。

〖それにね、今回に関してはダメだったのは私よ。ごめんなさいね。あなたがまだ小さな子どもなのうっかりしてたわ。許してね〗
ジーニ様がハクがしっかりしてるから忘れちゃったのって謝ってます。

『そっかあ。だいじょうぶ~気にしないで~』
えへへと笑うハク。優しくていい子です♪ジーニ様がそんなハクを
〖ありがとう。いい子ね~〗
って、やっぱりなでなでします。

〖ねぇ、ギン〗
『は、はい』
〖ハクはいつから魔法を使ってたの?誰か教えた?〗
ジーニ様がギン様にハクの魔法について質問します。そうだよね?ハク泉に潜る時、魔法使ってたもんね?
『いいえ。気がついたら使ってた感じです。本人は遊んでるつもりだけみたいでしたが』
たしかに~あの時もよく分からないけど簡単に出来ちゃった~みたいな感じだったもんね。
〖そう。ありがとう〗
『いいえ』
ジーニ様も納得したみたいです。

〖じゃあ、ハク。私も手伝うからやってみましょう。まずは目をつぶって、自分の体の中の一番あったかい所を探してみてね。フゥもクゥも一緒にやってみましょう〗
ジーニ様がさっきより丁寧に教えてくれてます。

『は~い 』ぶんぶん
『『は、はい』』

ハクはめちゃくちゃわくわくしてるのか、しっぽがぶんぶん。すっごく嬉しそうに挑戦してます。
フゥとクゥはめちゃくちゃ真剣なお顔です。緊張しまくりです。

それでも集中する内にハクのしっぽが大人しくなって、フゥとクゥも落ち着いたみたいです。
『ん~? ジーニ様~これかなぁ?お腹の当たり~?』
『私もおへその下あたり?』
『おれもです』
おお!すごいです。よくわかんないけどもう見つけたみたいです。

〖じゃあ、三人とも一度目を開けて、その辺を見てみて?〗

『『はい』』
『あれ~?いっぱい光ってるぅ?』
フゥもクゥもびっくりして目を見開いています。
ハクもこれにはびっくりです。

〖ふふ。そこがあなた達の魔力の源、ん~中心ね〗
不思議そうに首を傾げるハクに合わせてジーニ様は言葉を選んでくれる。
〖まずはそこを探し出して意識することが大事なの。誰であってもね〗
『は~い』
『『はい』』
うんうん。サーヤたちもだね。

〖そうしたら、そこから全身にゆ~っくり、同じ量で魔力を流すの。それこそ指先、髪の毛の先までね〗
『う~ん。よくわかんないけど、真ん中から外に向かって、ぶあーっはダメってこと~?』
ハクがその方が簡単だし早くないかな?って、ちょっとこれ難しい~ってお顔で聞いてます。

〖いい質問ね。それをすると一気に魔力が無くなっちゃうの。常に体の中を流れる血のように身体中に流す習慣をつけるとああいうことが出来るようになるわよ〗
ジーニ様はそう言って、ギン様、アルコン様、精霊樹の精様の魔力を可視化させました。

しおり