第10話 麗華
今日は久しぶりに趣味のソロキャンプ!
空気はうまいし、人気もないし
都会から少し離れただけ開放感がある。
最近事故物件とか廃トンネルとか
異次元空間ばっかりだったから
「生きる!生きている!」自然のパワー補充はやっぱり格別だ。
取り敢えずテントとタープを張って
焚き火代をセット準備完了!
川のせせらぎ、鳥の鳴き声、僕は自然を満喫していた。
「ん?」
川の向こう岸の丘の上に女の子が。。。
幻か幽霊か?いや水筒やリュックがあるから
人間ぽい。
こんなところで何してんだ?
この辺は熊もでるし、もうすぐ日がくれるのに大丈夫か?
「こんにちは!」
「。。。。」
無視かよ。
まぁどうなろうが関係ねぇしほっとくか。
死んで幽霊になったら成仏させてやろう。
僕は再びキャンプを満喫した、今日は奮発してサーロインステーキを持ってきたので
早速調理開始!
肉汁たっぷりのステーキにニンニクチップ
森の中に最高の香りが漂う。
「ぎゃー!」
川の向こうから悲鳴?叫び?
只ならぬ空気が。さっきの子か?
熊や猪もいるのでサバイバルナイフを手に取り悲鳴のあった方に向かった。
獣道にさしかかると足跡が👣
足跡を追跡すること10分。
別荘だった様な廃墟が目の前に現れた。
外観はヨーロッパ感のある2、3階だてくらいの廃墟だ。朽ち具合からいって半世紀近く放置されている感じだ。
「カダンゴトン!」
建物ないからもの音が
「誰かいますか?」外から呼びかけるが反応なし、取り敢えず深入りはせず、入り口付近だけ探索することにした。
扉を開け中に入ると、ホールのような広い空間があり、奥の両サイドに螺旋階段がある。
天井には蜘蛛の巣が無数に張り巡らされ
全体的に埃の量が半端ない。
「誰かいますか?」
「すぐ近くでキャンプしてるものです。」
耳を澄ますが反応なし、不気味だし、今日は調査でもなんでもない、引き換えそう!
記念の写真を10枚くらい撮ってキャンプに戻ることにした。
川の対岸まで来たところ、テントが揺れている。。。ガサガサッ
猪か?
橋を渡り、テントに近づくと
丸焦げになったサーロインくんが。。。
「ちくしょう、忘れてた。」悲しみはさて置きそーとテントを開けた。
「誰だ?」
ビクッ⁉︎
テントの中にいたのはさっきの少女だった。
少女はとっさに何かをズボンの後ろポケットにしまった。
「何をとった?」
「。。。」
「ポケットに何か隠しただろ?」
「。。。」
少女と僕は軽い揉み合いになったが
少女はあまり抵抗しなかった。
僕はすかさず少女のポケットに手を突っ込み
取ったであろう何かを探した。
ポケットの中に紙の様なものの感触がある。
そして驚くほどの柔らかいおちり。。。
これはチャンスと思い探すフリしてお尻を触りまくった。
「これは?僕の名刺?」
「他にも取っただろ?」
このテントは俺のテリトリー!
僕は調子にのり上着のポケット胸ポケットと隈なくあらゆるポケットを探るフリしてボディチェックする。まだ熟してない体を触りまくってやった。とにかく柔らかいんだ。
なんでだ、どう言う食生活してたらこんな
柔らかい体に。。。
「わっかった、止めろ、これ以外とってない!」少女がやっと口を開いた。
「しゃべれるじゃねぇか」
「お前何もんだ?なんで名刺とった?」
「。。。」
「何も言わないなら、こうだ」
「この犯罪者め、喋るまでこうさせてもらう。」とブツブツいいながら、手を後ろで縛り、両足も縛り、ゴルフの練習で使った。
穴あき練習ボールにひもを通してスケベ猿轡を即席で作って縛り挙げた。
「ググーっ」この緊張感の中で少女の腹が鳴る。。腹が減ってる?
「よし正直に喋らないなら、極刑に処す!」
丸焦げになった、サーロインを投げ捨て。
サブで用意してあった、ナイフを焚き火に当てじゃなく。
フランクフルトを火にかけた。
フランクフルとがプシュプシュ音を立ててやけていく。
「どうだ、食いたいか?うまいぞ」彼女の方を見ると、唾液でノースフェイスのジャケットがベチョベチョに。。。
やりすぎかと思ったが、遊び心に火のついた僕はハイボールに使おうと思ったレモンをランタンスタンドの先にぶら下げ、少女の前に。
「これが条件反射だ、自分の唾液で溶けちまえ」
少女の唾液はこれでもかと言わんばかりにジャケットにびっちょり。
流石の僕も正気に戻り、猿轡を外した。
「ごめん、やりすぎた」
「腹減ってんだろ、カツ丼はねぇけど
フランクフルト食うか?」
「縄ははずせねぇからな、ほら」
口元にもっていくと
少女はものすごい勢いでフランクフルトをほうばった
「ちょっとまってろ」
焼き鳥に、串椎茸、トウモロコシなど
続々と焼きはじめた。
「まあこれでも飲め」
ジョッキ一杯分のハイボールを口にもっていくとゴクゴクと音を立てて飲んだ。
これで少しは喋りやすくなると思った。
「こいつらが食いたいなら、まず名前を言え」
「麗華」か細い声でそういった。
まさか藍原と同じ年齢くらいだよな。。
20歳以上
「歳いくつ?」
「18」
「違う、18じゃない。聞かなかったことにする」
まずい、未成年に酒与えたら僕も罪人じゃねぇか。フィフティフィフティの立場になっちまった。
窃盗く未成年淫行。。。
「わかったギブアンドテイクだ」
「縄を解いて、これらを食っていいから、年齢は聞いてないことにしてくれ」
「わかった」麗華は素直に答えた。
「もっと飲めよ」
「いやあんたこそ飲みなよ」
もう年齢関係ないという勢いでハイボールを二人でしこたま飲んだ。
「でお前なんであんな廃墟にいったんだ」
「悪霊を探しに来ていた」
「悪霊?」
なんでも麗華は呪伝師だと言う。
呪い、怨霊、悪霊などを自分の器に入れ第三者に取り憑かせるのが呪伝師(ジュデンシ)と言うらしい。
呪伝に使う、呪い、怨霊、悪霊は怨念の強さにより呪伝師の器に留めておける時間が異なるようだ。
彼らを器に入れている時はこちらに主導権があるが期限を過ぎ人へ呪伝できなかった場合、呪伝師が彼らに取り憑かれてしまう為、命掛けの仕事となる。
主に呪伝するものは、金や政治で罪を逃れ
法の裁きも受けない様なやつがターゲットらしい。
「可愛い顔してずいぶん危ねえ仕事してんな」
「オーナーからの指示だからやるしかない」
「で見たところ取り憑かれて無さそうだけど居たのか、悪霊は?」
「あそこはただの廃墟で浮遊霊くらいしかいなかった。」
「この後はどうすんだ?」
「朝になったら、もう一箇所目処があるからそっちに行く」
「朝になったらって何処で寝泊まりするだ?」
「。。。」
「お願いするなら、テント使わせてやるが
お願いできるか?」
「。。。」
「わかった、いじめてすまん、泊めてやるよ」
「そのかわり、もう一度柔らかいそのおちりを」
ハイボールのせいでタダのエロ親父化していた。
「尻ならいくらでも触っていいぞ」
「えっ、キミはあっち方面の方?」
「何がおかしい」
「ちなみに今の職に着く前はどちらに?」
「高野山の寺で育った。」
何やら麗華は孤児で寺に引き取られ17年間、高野山から出たことがないようだ。
いわゆる男女の関係も知らないで育った。
取り敢えず夜もふけたしもう寝るか。
二人とも酔い潰れ朝まで爆睡するのであった。
「おぃ起きろ!朝飯だぞ」
僕は味噌汁と焼きおにぎりを麗華に差し出した。
「どうだうまいか?」
麗華は小さく頷くと紙切れを差し出した。
紙切れには住所が
「ここに行きたいのか?」
ここから車で1時間ほどの場所だ。
歩くと半日以上かかる。
「しょうがない連れていってやるよ」
「てかここまでどうやっきたんだ?」
「この先の通りでオーナーに降ろされた」
僕は荷物をまとめて車へ運んだ。
地図を見ると、なんとなく見覚えのある場所だったが気にせずエンジンをかけて麗華を助手席に乗せた。
車を道路脇に止めた、ここから森に入り1Kmほど進んだところに目的地がある。
「ありがとう」
「熊と猪がいるから護衛してやるよ」
そうはいったものの呪伝というものに興味が湧いてしまったのだ。
昼間なのに木々のせいで森は暗く、苔やシダが多く生息している。まるで富士の樹海の様だ。
何やら看板が「ホテル〇〇」
確か心霊スポットで有名なとこだったような
少し先に進むとモーテル型の廃ラブホが目の前に現れた。
「ここで待ってて」麗華
「いやぁ僕もいくよ」僕は手袋を外した。
彼女はモーテルの中心に立ち、目を閉じた。
「こっちだ」
かなり朽ちている建屋の中に完全な状態の建屋がひとつあり麗華はそこにむかっていった。
扉を開け中にはいる、外とは状態がことなり
カビだらけで空気も重い。
窓が無いため、扉からの木漏れ日だけが室内に入る。
胸のざわつき、悪寒が襲う。膝を突き手が床に触れるとそれ見えた。
5体の明王らしきものと、ひとつの体から男女の頭が生えてる化け物だ。
二つの頭はお互い向き合い何やら話している。
「いつまで心中遊びしている?
永遠に続けるか、それともその怒り、苦しみ、後悔を罪人にぶつけて浄化するか?選べ」麗華
二つの頭は麗華の方を向きこういった。
「彼のこと愛してた、でも許されぬ恋
死んだのは私だけ、彼は死にきれずこの場を離れて家族の元へ立ち去ったぁぁぁ」悪霊
「彼の様に女を手玉にとり、苦しめている男がいる」麗華
「そこのおとこかぁぁ?」悪霊
僕ですか?たしかに硬派とは言えないがそこまで女遊びしてましぇん。。😱
「違うこのものではない、ターゲットは政治家の息子、鼻から結婚する気もないのに毎日女をもて遊び、気に入らなければ薬漬けにしてる様なやつだ」
「その罪人に己の怒りを絡ませて締め殺せば、お前は浄化できる。契約するならこっちに来い!」麗華
怨霊は麗華のもとへ、みるみるうちに液化し彼女の中へと消えていった。
明王らしきものが剣で麗華の右手首に2本の傷をつけた、あれが怨霊を留めておく期限だ。
右腕から、紫色の煙状のものがドライアイスの用に立ち込める。
麗華は手首に包帯を巻き何やら文字を書き込みそれは収まった。
「任務完了、とっとと帰るぞ、にいちゃん」
「えっ」
「麗華ちゃん。。。ですよね?」
「何いってだょ、この薄気味悪いとこおさらばすんぞ」
「はい、了解です」
人格が。。。変わりすぎている。
「麗華ちゃん次は何処にいきますか?」
「渋谷の事務所に帰る」
「かしこまりました」
僕は人格の変わった麗華を渋谷に送り届けることになった。
「あんた暇なの?」
「暇ではないけど、女の子を山に置いて行くわけにはいけないので」
「別にそこら辺りで下ろしてくれてもいいよ」
「ここまで来たから送りますよ」
三軒茶屋で高速を降りて246で北上していく。
「スクランブル交差点はの方にいって」
車をパーキングに止めて、麗華について行くと、お洒落なカフェを指さした。
「ここの2階が事務所、オーナーもそこにいるから紹介するよ」
カフェの横の階段を身軽なステップで麗華は駆け上がっていった。
怨霊を捕まえる指示を出すオーナーとかどんな奴だよ。ちょっと不安。
「オーナー、この人が手伝ってくれた人、名前は?」
「初めまして、風間です。。。」
「初めてましてオーナーのNAOTOといいます?」
目の前にいるのは、紛れもないこの前藍原を口説いていたチャラ男だ。
「ん?何か?どこかでお会いしましたか?」
「いや、あのイケメンだなと思いまして」
「はっはっはっ、ありがとうございます」
「すみません、麗華が色々お世話なったみたいで」
「こちらこそ刺激的な時間を堪能させてもらいました。」
「ちょっと昼時で下のカフェの手伝いがあるので、ゆっくりしていってください。」
オーナーはカフェの手伝いにいった。
「あの人見たことある、前に渋谷に来た時に後輩と仲良さげに話してた」
「オーナーも交流多いからな、ナンパかもよ」
僕は盗まれかけた、心霊研究部の名刺に携帯番号を書き麗華にわたした。
「なんで名刺とった?」
「本当は食いもん探してたんだけど、心霊とか書いてあったから、ついポケットにしまっちゃったんだよ」
「何もないと思うけど、部員の奴らはすげー奴がいるから、時間があったら一回遊びに来いよ、きっとドクもお前に興味湧くと思うぞ」
「わかった。」
「それじゃまたな」
僕は車に戻り、渋谷を後にした。
藍原に話すべきか悩む。
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