第12話 誤解?(5)
だって私は勇者なのに、たかが魔族、異種族の王に軽くではあるのだが。私が勇者であるのに、侮られ、嘲笑いをされた訳だから。相手の顔──。男の顔を忘れる。忘れる訳はないのだよ。
それにこの男は?
勇者の私に対して、嫌だ! 離せ! 助けてくれ! と、大袈裟に言っている。告げているわりには、妃である私に甘えている様子を見て確認をすればわかる通り。通りなの……。
そう……。
うぎゃ、あああ~! うぎゃ、あああ~! うわぁあああ~! くそ~。歯痒い。歯痒いよ~、ではなく。恥ずかしい。恥ずかしいよ。昨晩、早朝の出来事なのかは、わからない。知らない。理解が全くできないけれど?
私は勇者なのに、この男……。
いや、魔王、じゃなく。家のひとの慰め者になった。されてしまったのだよ。
その行為、悪態行為か、恋愛……。お互いが愛を誓う。育む行為になるのか分らないけれど?
私は先程から何度も不満を漏らし、嘆いているように。
私の胸の谷間で、さり気なく甘える家のひとに、強引な接吻……。
家のひと、というか? 王様、殿のお城の謁見の間で、このひとは、妃、妻である私に対して強引──。
ウムも言わせず接吻をしてきた。してきた筈! 筈なの~。家のひとはぁあああ~!