第10話 目覚めてみると? (2)
まあ、今回もお酒の飲み過ぎで己の記憶が飛び、異性に持たれ掛り。甘えてしまい。
そのまま、宿舎の寝室、ベッドインをしてしまい。
己の純情、乙女、生娘を、異性に捧げる事も無く。無事に朝を迎えられた事を。我がエルフの奉る神木、神へと感謝──。感謝の意を捧げたい衝動に駆られる。駆られるのだよ。
と、いう事はない。ないのだ。
「えっ! あっ、あれ? ここは一体何処? 何処なの……?」
そう、私の持つ碧眼の瞳に見知らぬ……。
いや、見た事も無い。部屋の光景……。置物、家具、装飾品などが目に映るから。思わず私は驚愕! 驚嘆まで漏らしてしまった。しまったのだ。
でッ、漏らし終えれば。
ま、不味い。どうしようと思う。思うのだよ。
だって? 昨晩の私の記憶が徐々に回復、戻ってきたから。
己の顔色が変わる。変わるのだ。青色にね、だよ。
だってさ? 私は昨晩、魔王城の謁見の間にて魔王──。
彼と対峙、争い。勇者である私が彼を追い詰めた。追い詰めた筈なのだ。
まあ、その辺り。そこら辺りの記憶は、私自身も思い出してきた。きたのだよ。
でも? その後の記憶、記憶が戻らない。無いのだ。