第6話 何故、物の怪でもないのに鋼の甲冑を身に纏う?(4)
でッ、その後僕が思ったことは? 僕の膝の上に頭鎧を装着、被ったままでいる外国の女性が。僕達日本の言葉がわかるか、わかるのか、理解ができるのか、思案を始めだす。だすのだよ。僕はね。
「ううう、み、水……。水を。水をください。お願いします……」
でもね? 僕の思案、考える男性(ひと)になる時間は、そう、長くはなく。ないのだ。
だってこの通りだ。僕の膝の上に頭を置き、のせる外国の女性の口から。僕と一緒で、日本語での悲痛な声色での嘆願が漏れてきた。聞こえてくる。
と、いうよりも?
先程から彼女は、日本語を漏らしていた。いたよね。確か?
そのこと事態を僕自身は、動揺の余り。慌てふためいて、すっかり忘れていたのだ。己の脳裏から完全に消えていたようなのだよ。
でッ、僕自身も彼女。僕の膝の上に頭を載せる彼女が、日本語がわかる。わかる女性(ひと)だと思えば。彼女の掌を優しく両手で握り。
「君~。君~。貴女~。貴女~。大丈夫。大丈夫ですか~?」と。