夜の公園
この日の夕方、廃屋の事件はテレビで報道されることになった
もりおはこの廃屋が自分の家からわりと近かったために驚きながら家族とテレビ番組を観ていた
彼は現在、高校2年生であり、8時から駅の近くにある本屋のアルバイトをしており、廃屋の近くを通らないといけないので思わず今日休もうかと考えていた
家族に相談すると、気味が悪いし、何よりも8時から仕事をするということを言うと辞めなさいときつく言われた
さすがにこのような事件が起きているので、もりおはバイト先に今日休みますと電話をかけた
すると店長のおくだが出て、困っていた
もりお
(すみません、もりおですが、あっ店長、知ってますか、廃屋の事件)
おくだ
(あー知ってる、先ほど休憩したときにたまたまラジオ聴いてたからなー
いやー、あれはヤバいわ)
と恐る恐る言う
もりお
(店長、すみません、今日のバイトに行く件なんですが)
店長はまたか、と思いながらいった
(あーわかってる、今日、バイト、来れないって言う事で電話したんだろ
いや、出来れば休んで欲しいんだけどさ、この事件、聞いてたやつらがみんな今日、来ないんだよ、
だからさ、この店の店長してるけど、基本的に俺も本店に雇われてる存在なんだよ、だからさ、悪いけど、来てくんないかなー)
と言った
店長も危険なので一刻も早く帰りたい気分だったが、雇われてる立場では、そういう意見を本店に言っても通じなかった
もりおは(なんかすごく嫌だなー)とは
思ってはいたが、仕事はお金が発生しているし、何よりもここで休んだら店長一人では無理があると思った
もりおは考えた末、今日店に行くことにした
もりお
(わかりました、店長、俺、いきますよ、)
店長はかなり来させたくはなかったが、仕方ないことであった
店長
(そうか、来てくれるか、イヤー本当に助かるよ、ただし、来る途中でヤバそうな目にあったら一目散に逃げろ、そしたら絶対、来るなよ
とにかく今日は危険だ)
とって、心より心配してくれた
もりおは嬉しくなりながら言う
(わかりました、店長、そんなことになったらすぐに逃げますから、今日は自転車で生きますよ、さずがに歩きだとヤバすぎますもんね)
店長は何かやな予感を感じながら言う
(もりお、なんかすごく俺、嫌な感じがするんだ、もりお、やっぱりお前、今日、来るな、休んでいいよ)
と言う
もりおは(えっ)と言いながら、なんか申し訳なくなり店長に言う
もりお
(いや、店長、無理ですって、一人で仕事すんのは、俺、ちゃいきますから、待っててくださいよ)と意地をはって言う
店長は(いや、なんかやっぱり今日はダメだ、よくわからんが、そんな気がすんだよ、お前、今日絶対来るな、わかったか、仕事の事は気にすんな、なんとかなるって)
しかし、もりおは店長に言う
(店長、俺、行きますからね、じゃあ、そういうことで)
と言って電話を切ってしまった
店長は(おい、もりお、もりお)と言ったが電話が切られてしまったので、嫌な予感をしながら待つことにした
もりおと店長は後でこの事を後悔する事はなるのだった
時刻は7時26分を過ぎた
もりおは家族にばれないようにうまく外へ出ることができた
自転車に乗ると駅にある本屋に急いだ
もりおが走っているとやがて廃屋が見えた
回りにはロープが巻かれており、警察とテレビ局の連中がいた
自転車を運転したときら何かすごく怖かったので、警察テレビ局の人たちを見ると安心した
もりおは自転車を運転しながらふと、廃屋を見た
すると、目の錯覚だろうか、屋上に
こちらを見ている男がいた
もりおは心臓が止まるかと思いながら
目を反らしてまた、走りながら見ると先ほど見た男はいなかった
もりおは、なんだよ、錯覚かよ、と思いながら自転車を走らせて行く
だが、心臓の鼓動は恐怖でドクドクト早くなっていた
もりおの顔も恐怖で凍りついている
もりおは何回も、さっき見たアレは恐怖から来る錯覚なんだ、と何度も思ったが、先ほど見た男の姿が脳裏に焼き付いて離れなかった
もりおは一刻も早くバイト先に行って、店長やお客様に会いたかった
生きてるここちがまるでしなかった
全身からおお汗をかいていた
そろそろ駅につく頃だと思いながら
ある公園の前を通りすぎようとした
すると、公園のブランコに乗っていた首を右手で持っている醜悪な女が一瞬見えた
もりおは発狂しそうになりながら自転車をもうスピードで飛ばし、やっとバイト先の本屋に到着した
もりおが店の近くで自転車を止めると、降りてすくそばで吐いた
もりおは確かに見た
一瞬だったが、ブランコに乗って右手で首を持っている、この世の者とは思えない醜悪な女が、もりおに向かって大声で言ってた
(お前、見えてるな)
もりおは吐くと、最悪の気分で店の中に入って行った