第5話 真冬の怪奇?(8)
〈ズルズル〉
〈ガシャン、ガシャン〉
〈ガサガサ〉と。
物の怪さまは、自身の苦しく。辛そうな足取り。歩行でね。僕の後ろ、背へとピタリと到着した? したと思う?
物の怪の鈍く擦れ合う金属音と足取りの音、響きが聞こえなくなった。なったのだから僕自身も間違いない。ないと思われる?
だって直ぐに僕の背へと。
〈ガサ! ドン! ガン!〉と。
刹那──。
大変恐ろしいこと。出来事が起こる。起きてしまうことはない。なかったのだ。
只僕の背に重み、物の怪さまの体重がのしかかってくるだけだったのだ。
そう、僕の背、背後に迫ってきていた鎧武者の女性のお化けさまなのだが?
只僕の背に倒れかかり捕まるだけ。のみでね。
僕を。僕のことを己の両手で力強く羽交い締めする訳でもなくて、只倒れ込んでしな垂れかかり抱きついてきただけなのだが。
それでも僕はやはり、というか?
流石に驚愕! 恐怖! 畏怖! 恐れ慄きながら己の身──。
自身の毛が逆立つほど恐れ慄きながら。