第5話 真冬の怪奇?(3)
そう、何か? 金属を地面に引きずりながら歩行する足音。ズルズルと、己の力無い身体を無理に動かし歩行をしている足音を混ざり合い。この真冬の漆黒の闇に覆われた夜。暗闇の空間の中で、木枯らしの音と共に僅かに聞こえていたのだ。
〈ガリガリ〉
〈ズルズル〉
〈ガリガリ〉
〈ガシャン〉とね。
俯き、己の背を丸めながら、片付けの作業を進める僕の耳へと音が聞こえてくるだけではない。
僕の耳へと聞こえる音、音色、鈍い金属音が、段々と大きくなりつつ。なって聞こえてくる。
と、なれば?
この音? 音を出す何かしらわからないも物。怪しい物は、段々と僕の背後に近づいている。いるのではないかと思われるのだ。
間違い無しに僕の背後へと近づく、接近をしているものだと思うから。