37章 ペットと戯れる
エサをあげることによって、ペットたちは本来の元気さを取り戻していくこととなった。アカネの読み通り、栄養失調にかかっていたようだ。
エサ代として50万ゴールド近くを使ったものの、幸せの山頂にのぼったかのようだった。動物の癒しは、1億ゴールドくらいの価値がある。
アカネの一番のお気に入りは、「カウドック」である。犬80パーセント、牛20パーセントの割合で配合された生き物だった。
犬との一番の違いは、ゆったりと行動するところ。犬の俊敏性を苦手とする人であっても、飼いやすくなっている。
見た目は犬に非常に近いからか、乳を出すことはできない。それゆえ、乳しぼりを楽しむのは無理である。犬から出てくる乳を少しでいいから飲んでみたかった。
「カウドック」の好物は、セカンド牛である。肉を上げると、幼稚園児さながらに喜んでいた。
「キャットプラント」もよかった。猫が緑色をしているときは驚いたものの、それ以上に可愛さが勝ることとなった。
「キャットプラント」の大好物はキャベツ、ニンジン、玉ねぎといった野菜。植物の形をしているだけあって、野菜を好むのかもしれない。
肉、チーズ、パンなどには興味を示さなかった。カルシウムやたんぱく質よりも、ビタミンたっぷりの食品を好物としているようだ。肉好きの人間からすれば、考えられない好みをしている。
「バターシープ」ともよく遊んだ。名前の通り、バターの色をしている羊である。
こちらの好物はチョコレート、飴といった糖分の多い食べ物。アイスクリームなども好物なのか、必死になって食べていた。
お菓子だけでなく、果物もおいしそうに食べていた。バナナ、桃などは特に好物らしく、瞬時に平らげていた。
「バターシープ」は糖分の消化に優れているらしく、人間の5000倍くらいを問題ないようだ。甘いものが好きなだけ食べられるのは、非常に羨ましいと思った。
「アカネさん、閉店の時間になりました」
時刻を確認すると、夜の8時を回っていた。ペットと一緒にいるのは楽しいのか、時間がたつのを忘れてしまっていた。気づいたときには、「なごみや」を利用してから、7時間以上が経過することとなった。
他の客は誰もいなかった。すでに帰宅したようだ。
アカネの、昼食、夕食を食べていない。食べなくてもいいスキルを持っているとはいえ、現実世界にいる間は何かを口にしたいところ。家に帰ったら、「セカンド牛+++++」を食べることにしよう。ペットの癒し、肉のおいしさの相乗効果で、心身をさらに癒すことができる。