第133話 堂々と帰ってきた
「まったく、親が親なら子も子で人外だな」
「人外は無いでしょう。言い方をもう少しなんとかしてくださいよ」
ゲーリックさんの言に僕がクレームをつけると。
「いったいいくつだ、10にもならんだろ」
「あたし達7歳よ。双子なの」
イングリッドは胸を張って言う。本当に物怖じしない。
「あいつはあれでも4級冒険者なんだがな。7歳で4級冒険者を手のひらの上で転がすのかよ」
「4級と言っても酔っ払いでしたからね」
「ま、あいつは後で説教だ。で、あれだと当然祝福持ちなんだろう」
ニヤニヤと悪い顔で笑うゲーリックさん。まったくこの人は……
「ウィンドドラゴンの祝福」
「はあ。なんだそれ」
「ウィンドドラゴンを討伐した時に受けました。僕達の子々孫々まで受け継がれるそうです」
「どんな効果があるんだ」
「他言無用ですよ」
「分かっている」
「なんというか、身体が丈夫になります」
「それで」
「回復力がとんでもないことになります」
「他には」
「見たように、攻撃力が凄いことになります」
「まだあるのか」
「竜の魔法が使えるようになりました。他にもあるかもですが正直まだ全ては把握できた自信がありません」
「りゅ、竜の魔法か、どんなだ」
「倒したのがウィンドドラゴンだからでしょうね、風属性の刃って感じです。1撃で上位魔獣をまとめて数体倒せます」
「人外が更に人外に……」
「また人外ってなんですか、言葉を選んでくださいよ」
「あ、となると子供も使えるのか、その竜の魔法」
「使えますね。まだ魔力が少ないからでしょうか、僕やミーアが使う魔法より弱めですけど」
「と、いうことはあいつは命びろいしたってことか」
「え、ああ子供達にも人相手に使うなって言ってありますから大丈夫だと思います」
「ん、という事はミーアも竜の祝福を」
ゲーリックさんの問いかけにミーアがニッコリと答え
「ええ、あたしも竜の祝福はもらいました。なので色々とね。あたしもフェイも対人戦は出来なくなりましたね」
「出来ないとは」
「そうですねぇ、手加減しきれないので、例えば打ち込み稽古用の杭ありますよね。あれにあたし達が手刀を振るうと切り倒すことになります。あと、聖騎士団団長のお宅にお邪魔した時にちょっとしたことがあって、フェイがミスリルの杭に木剣を振るったんです。木剣が砕けて、ミスリルの杭も真っ二つでした。そんな力を対人で振るったら手加減してもね。わかるでしょう」
そんな話の後は最近の聖国での出来事を聞いたり帝国の街の様子を話したりとひとしきり雑談をしてギルドを辞した。
「明日から2,3日聖都観光をして、そのあと村に行ってみよう」