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 散らばった物の分類が終わり、元あったであろう場所へと戻してゆく。
 本は本棚へ、衣類は洗濯のすんだものからクローゼットへ。
 スケッチブックは本棚だろうか、机の上のブックエンドへ立てるべきか。
「トウマさん、スケッチブックはどちらに片づければよいでしょうか?」
 言葉での返答とため息を想像していたが、トウマさんはソファに横たわったままゆっくりとこちらを向いた。
 やや間を置いて、口を開く。
「持ってきて」
「はい」
 大きさも表紙のデザインもすべて違う十冊ほどのスケッチブックを、トウマさんの元へ運ぶ。
 トウマさんは起き上がってそれを受け取りソファに置いて、一冊を膝の上に置いてめくり始めた。
 海外の映画俳優をスケッチしたものだと思われる。
 力強い鉛筆描きのもの、ふわりと水彩で着色されたもの、鉛筆描きだが詳細に描きこまれ写真のように見えるもの。
「トウマさんが描いたのでしょうか?」
 彼を補佐するための情報はあいかわらず不足していて、学習しようと私はまたたずねる。
「そうだよ」
 彼は別のスケッチブックを開く。
 風景画で、緑の多いものや都会の街並み、水辺の夕暮れや公園の動物。
「ねえ、ヒューマノイドは絵を描いたりできるの?」
 唐突に初めて、トウマさんからの質問を受けた。
「絵を描くという行為は理解しておりますが、私にはその技術がインストールされておりません」
「機械だから写真みたいに描けそうなんだけどな。なにか描いてみてよ」
 トウマさんはスケッチブックの空白のページを開いて、私に手渡した。
 そして立ち上がり、机のペンスタンドから鉛筆を選んで持ってきてくれた。

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