チェンジ{済}
涼香はネフロスにフードをとられ座りこむと、頭をかかえながらうつむき顔をかくした。
(ど、どうしよう。このままじゃ……)
ネフロスは、素顔をみようと右手をのばし涼香の肩をつかんだ。
「さて、その顔を拝ませてもらおうか⁉︎」
「りょ、涼香ぁぁ〜……」
それをみた要は咄嗟に右手に炎をまとわせ、ネフロスめがけなげる。
「クッ。まずい!」
ガディスは、涼香の素顔がみられたらまずいと思い剣をぬいた。
そしてガディスはその剣を一閃し、ネフロスめがけ青白い斬魔をはなった。
「フッ。邪魔はさせないよ!」
ラゴスはそれに反応し、多彩な宝石がいたるところに散りばめられた、緑色の弓をもちかまえる。
《フレーシュ ディアマン‼︎》
そうラゴスが言うと、光をまとったダイヤモンドの矢があらわれる。
《ティレ ウン ヴァン‼︎》
すかさずラゴスがそう呪文を唱えると、無数の風があらわれ光をまとった矢をおおった。
そしてラゴスがその矢をはなつと二本に分かれ、炎の玉と氷の斬魔にあたりかき消していった。
「あークソォー‼︎」
「ラゴス。よくも俺の攻撃をぉぉ〜。仕方ない、この際は……」
「「あーもう、突っ込むしかないだろうがーー‼︎」」
要とガディスは顔を見合わせ、その後ネフロスめがけ突っこんでいった。
一方ネフロスは目線をあわせるため、右手で肩をつかんだまま中腰になり、左手を涼香のアゴに添え手前にひこうとする。
すると涼香は、右手でネフロスの左の手首をつかみ噛みついた。
「い、てぇぇーーー!!!!!」
そう言うとネフロスは涼香を突きとばした。
「クッ……」
ネフロスはあまりの痛さに顔をゆがめる。
そして涼香は突き飛ばされ一回転し体勢を整えると、また座りこみフードをかぶり顔をかくした。
それをみた要とガディスは一瞬なにがあったのかと思い立ちどまる。だが、2人はその意味することがわかった。
(なるほどな。今あそこにいるのは涼香じゃない。確かに、この状況じゃ、涼香じゃなにもできない)
(そういう事か。あの女にはなにもできないとふみ、バルロス様が表にでてきたというわけか。フッ。これは、面白いことになりそうだ)
要とガディスは様子を伺うことにした。
「これは……。いったい、なにがおきた⁉︎」
ラゴスは今なにがおきたのかわからず、ただ呆然とみていた。
「つう……。なんなんだ!この女は……。私の手を噛んだぞ‼︎」
ネフロスは、噛まれた左手から血をながし、右手でその傷口をおさえながら、不思議そうに涼香をみている。
ゴルボラは、クルテルをおさえこんでいたが、なにが起きたのか分からず立ちすくんでいた。
「これは、いったいなにが……」
「ククク。これはこれは、なんか面白くなりそうですね。ククク……」
そう言うとクルテルは、服についた土をはらいながら立ちあがった。