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残り二人のパーティーメンバー

「緊張したね……。」
ここは王城の一部屋。王が
「薬師と盾師《シールダー》が来るまでこの部屋で待つように」
と命じたため、俺はこの魔法使いの女の子と同じ部屋にいる。ただ、セバスチャンもいるため完全に二人っきりという訳でもない。そんな中で彼女が発したのがこの一言だった。
「ん?ああ。」
俺は急に話しかけられたのでぶっきらぼうにしか答えられなかったが、彼女の顔をまじまじと見つめる。ツインテールに整えられた黄色い髪にクリっとした碧眼、白い肌の中で赤色の小さな唇が際立っていた。

年齢は十七、八といったところだろうか。だとすると二十歳の俺より二、三年下だ。控えめに言って、可愛い……。
いやいや、と俺は首を振る。彼女に聞きたいことが山ほどあるんだ。
「名前は?」
俺は呟くように彼女に問う。
「私の名前はゼロ。ゼロ・メアリー」
彼女は確かめるように言葉を区切りながらそう言った。
「ゼロ?」
俺は不思議に思いながら聞いてみる。ゼロとはまた変わった名前だ。
「そう、ゼロ。数字の。」
彼女は言った。
「私は魔法以外何もないの。だからゼロらしい。」

彼女はそうも続けた。俺が反応に困っていると、
「あなたは先代勇者の孫でしょ?周りの目が気になった?」
彼女が逆に質問してきた。俺は俯いて、
「ああ。」
とだけ呟いた。そうだ。俺は昔からそうだった。俺はトット・カラードとしてではない。ずっと、ずっとレンリンの孫・優秀な門番の息子として見られてきて、そしてバカにされて来た。何で今俺がここにいるのか分からない。

なぜ祖父は俺に勇者を継がせたのか?なぜ俺は魔王討伐に行かなくてはいけないのか?全て分からない。今村人たちは俺を称賛しているが、どうせ一度しくじったらまた元通りになる。何でそれなのに俺はここにいる?そうだ。俺はもうバカにされたくないんだ。だからここから逃げ出さないんだ。逃げ出したらまたバカにされる。逃げたらいけないんだ……。

「カラード?」
声がした。顔を上げるとゼロが心配そうにこちらを見つめている。
「ん?ああ、大丈夫だ。少し考えごとをしていた。」
俺は彼女に不安を与えないよう、ゆっくりと言った。彼女は笑顔になる。よかった。そう心の中で安堵に浸った。

と、その時、
「ふぃー。緊張した~。あの王様、威圧感すごすぎなんだよな」
と言いながら上半身裸の男が入ってきた。背は俺より少し高く、晒された肌は日焼けしており腹筋もバッキバキに割れている。ゼロが「キャッ」と目を背けるのを見たのか、
「おい、服着ろよ。」
ともう一人の男が服を差し出しながら咎めた。この男は色が白く、眼鏡を掛けている。背は俺と同じか、もしかしたら俺よりも低いかもしれない。
「わーったわーった。ったく、うるさいな。」
筋肉男がそう言いながら服を羽織った。まさか、彼らが残り二人のパーティーメンバーなのか?

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