マリーと惑星ウィズエル Fractal.8
「ニョロちゃん! ウチ、言うたよね! イジメたらアカン! みんなと仲良うせなアカン!」
「……幼稚な」
ウチの突撃を、子供の駄々とばかりに軽くいなすニョロちゃん。
ひらりと体捌きに
「ぎゃん!」
不様につんのめり飛ばされながらも、ヘリウムブースターで空中を踏み留まった!
「天条リンならいざ知らず、オマエ程度では相手にもならん。所詮は
「ふぐぅ……」
その通りや。
その通りやけど……何か悔しい。
「
これも同様に
さすがGリンちゃん!
運動神経も鋭いけど、根本的に抜け目が無い!
「クッ?」
危なっかしくも
すぐさま斜め後方から〈ドフィオン〉の牽制射撃!
せやけど、これも後方跳躍を重ねて回避や!
「やはり私が
「言っとくけどね!
「リンちゃん大好きやーーっ ♪ ぎゅうぅぅ♡ 」
「──いからねったらったらったらったーーーーッ!」
ハグや ♪
背後から仲良しハグやねん ♪
思いっきりギュウゥゥで
ほら! Gリンちゃんも
「痛いッつォォォーの!」
「ぎゃん?」
振りほどくなり、脳天ハリセンスパーーン!
何でッ?
「ぅぅ……痛いよ? リンちゃん?」
「
「ちゃ……
「……無理矢理、
ウチとリンちゃんが
「危なッ!」「ひゃう!」
慌ててヘリウムブースターで散ったわ。
「ちょっとアンタ! いきなり何すんのよ! 危ないじゃない!」
「私を相手にしておきながら
「したくてしたんじゃないッつーの!」
「せやったら、何で?」
「……そこに座れ、脳ミソパープー娘」
「は~い ♪ 」
「嬉々と座るな!」
怒られたよ?
何で?
座れ言うたの、リンちゃんやんな?
「クックックッ……まぁ、いい。どうやら〈ネクラナミコン〉は
「はぁ? 何処に……って、まさか! この惑星へ
「何の事だ?」
「とぼけんな! マリーにキャッチメール送って〈ネクラナミコン〉を持って来させたでしょ!」
「
「ハァ……」と、Gリンちゃんは軽く
「いいや?」
Gニョロちゃんは、頭上に警戒旋回しているドフィオンを眺めた。
「
そして、今度は眼下の巨大貝を見据える。
「──
「だ~か~ら! 揃ってないッつーの! まだ五個! 〈ネクラナミコン〉は、全部で六個でしょーが! 算数も出来ないのかアンタ?」
「だから、
「なッ?」「ふぇぇ?」
さすがに面喰らった!
何や?
ニョロちゃん〈ネクラナミコン〉やったん?
「そうか! 宇宙クラゲに少女形態──思うがままに〝
「せやったら、あれやんね? ニョロちゃんは〈大樹神さま〉や〈
「……それは言ってやるな」
何で?
「ともかく! アンタの目的が
「クックックッ……その必要は無い。よくよく考えてみれば〈ネクラナミコン〉は、エネルギーを集積して
「どういう意味よ!」
「解らないか? 天条リン? 肝心なのは、
そして、Gニョロちゃんは渾身に気迫を叫んだ!
「ハアアアァァァァァーーーーーーッ!」
彼女自身を核として発生するエネルギー放出!
そして〈ネクラナミコン〉は集結した!
ドフィオンから──基地から────意思があるかのように抜け出して、Gニョロちゃんの
まるで主人に従えるかのように!
「ようやく実現する──
噛み締めるかのように呟くと、Gニョロちゃんはキッと上空を仰いだ!
そして、そのまま上昇離脱!
スゴいスピードやった。
あれ、到底〈Gフォルム〉で出せる推進力やあらへん。
帯びたエネルギーによる特異性かもしれへんね?
「クックトゥルー? 何よ?」
置き去りにされたGリンちゃんは、言葉に
せやから、ウチは親切に教えてあげたねん ♪
「テキサスのニワトリやねんよ?」
「クルーーッ! 後で説明を御願ーーい!」
大声でドフィオンに呼び掛けた!
ウチ、信用されてへん!
ふぐぅ!
「ったく、
「う……うん!」
『了解した』
ウチとGリンちゃんは、すぐさま〈Gフォルム〉を解除すると、
この間、
追跡するなら〈
そして、三機の魚影は垂直に飛び立ち、大気圏を後にした。
惑星ウィズエルの近宙域──。
そこにGニョロちゃんはいた。
蒼いエネルギー
「イア……イア……イア…………」
瞑想するかのように、意味不明な単語を呟き続けるGニョロちゃん。
「させるかっての!」
高速に強襲する〈ミヴィーク〉からヘリウム砲が発射される!
せやけど、拡散に弾かれた!
「ハァ?」
予想外の展開に間抜けた声を洩らすリンちゃん。
バリアや!
まるでGニョロちゃんの邪魔はさせないとばかりに〈ネクラナミコン〉がエネルギーバリアを張った!
「結界ってワケか! そんなら……Gフォルム・メタモルアップ! Gリン!」
リンちゃんのメタモルアップ!
せやねん。
「んにゃろ!」
ヘリウムブースターの高速突進でストレートパンチを繰り出す!
またバリアや!
Gリンちゃんの拳が、エネルギー障壁の圧に押し止められる!
「ク……ゥッ?」
それでも
意地や!
リンちゃんの負けん気や!
「Gフォルム・メタモルアップ! Gモモ!」
すぐさまウチも!
「タァァァーーーーッ!」
Gリンちゃんの横からパンチを叩き込む!
パワー戦ではウチの方が、Gリンちゃんより向いてんねんよ?
『援護する』
クルちゃんの〈ドフィオン〉も、ヒット&ウェイの砲撃に加勢!
せやけど……総て
針の穴ひとつ貫通出来へん!
「イア……イア……イア…………イア……イア……イア…………」
ニョロちゃんの詠唱は続いとる。
そして!
「イア! イア! オォォォーーーーッ!」
極まったかの
……っていうか、Gニョロちゃん?
そのまま〝イチローさんの牧場〟でも行くん?
そんな思うた直後、眼前の宙域が歪みに
「ブラックホールッ?」
『Gリン、それは違う。アレは〈
「言われてみれば〈ブラックホール〉と内側が
「
『
ウチらが驚愕に呑まれとる間に、その空間から
超絶巨大な黒い影が!
空間穴の縁に重々しく手を掛け、暗い
デカイ!
惑星サイズの巨体!
威圧的な──畏怖的な──戦慄的な────脅威やった!
「な……何やの?」
「なっ? 何よ! コレ!」
慄然と固まるウチとGリンちゃん!
『……クックトゥルー』
珍しくも苦渋を噛み締めるかのように零すクルちゃん。
「アハハハハハッ! アハハハハハハッ!」
Gニョロちゃんの驚喜が戦慄の銀河に木霊する!
遂に〈邪神〉が、その姿を
「ところで、お爺ちゃん? こんなメール来たんだけど……知らない?」
「ふむ? ワシではないが?」
「はーい! それ、ワシで~す★」
「ポチッとな」
「ギャアアアアァァァーーーーッ?」