ペット区画の扱いについて少し考える
創造された無数の世界の中には、被造物の存在しない世界というものがある。そういう世界は、最初は組み込まれた使命と指導に従い普通に創造するのだが、それらが済むと途端にやる気が失せて全てを消し去ってしまった世界か、管理していた世界に飽きたか管理に失敗して全てを消した世界であった。
そういった世界には、元々世界に蓄えられている力だけが存在している。力は外に出ていかないので管理は非常に楽だが、そのまま放置していると、稀に力が集まって何かが生まれることがあった。それはれいのペットのように、外の世界で起きている現象と同じもの。
しかし、その世界に蓄えられた力の多くを使って誕生するだけなので、仮に何かが生まれたとしてもあまり強くはない。普通の管理者単体でも倒せる程度だろう。
だが、稀にその世界に蓄えられた力を全て使って生まれる可能性が在り、その場合は普通の管理者単体では対処が難しい。もっとも、今のところそんな存在が誕生したことは無いのだが。
何も存在しない世界というのはかなり珍しく、そんな世界で何かが生まれるだけでも稀だというのに、その中で更に極低確率で起こる可能性なので、今までそれが実際に起きたことは無い。怠慢な管理者とはいえ管理者ではあるので、何かが生まれる前兆があった場合は、それを散らすなどの対処ぐらいするというのも可能性でしかない理由でもあった。
さて、そんな風にペットと同種の存在が生まれるのをれいは知ってはいるが、れいは外の世界で自然発生した存在に興味があるのであって、それ以外ではあまり興味が無かった。
なので、そんな怠惰な管理者の世界にも興味は無いし、環境を作ってわざわざ誕生を試みるつもりもない。そもそもそうするぐらいならば、れいなら自分で創造するだろう。
ペットを愛でながら、れいは新しいペットはやはり生まれそうにないなと残念に思う。外の世界で前兆が確認出来ても、それは直ぐに消されるのだからしょうがない。元本体は、ハードゥスのれいよりも性能は上なのだから。
しかし、新入りが望めないのであれば、望めないなりに考えることはある。例えば、既存のペットに対して広すぎる世界の扱いについてなどだ。
「………………この辺りは一角の拡張を行う際に使用すればいいとしまして」
他にも、なんやかんやでペットの遊び相手なんかも結構増えてしまっていた。ラオーネ達の能力で狩りを行った場合に狩つくされないぐらいの数を想定していただけに、狩りをしない日やあまり多く狩らなかったりした場合は余ってしまう。結果として、数が増えすぎてしまっていた。
「………………これは数を見直すとしまして、過剰分は回収しておきましょう」
後は細々とした部分も多かったが、やはり一番の問題は広さだったようだ。ラオーネとヴァーシャルは意外にも活動範囲が狭いようで、今の半分の広さにしてもまだ広すぎるだろうほど。
ただ、広さに関してはどうにかなるので、そこまで深刻な問題ではないのだが。
「………………ペット達は手が掛からないのはいいですね」
一角の管理をしていると、色々と面倒な部分が多く出てくるが、その分ペット達は自己管理をしっかりと行っているので、れいはただラオーネ達を愛でるだけでいい。
そうしてペット達に癒された後、れいは再び管理に戻るのだった。