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キョウ様が褒めるとリズは、クスッと微笑んだ。
その表情は、何を考えているのか分からない。
それに対してキルアは「食えない男だ」と呟いていた。するとキョウ様は……。
「それに……獣族の能力は、もともと私が創りあげたものだ。
大昔……まだ地球に草原以外しかない時代。
知能のない生命体に私は、知恵の実を与えた。
知恵がついた生命体は、理性を持ち進化を遂げた。
のちに分裂し、その一部が人間となったが、知恵を持ち過ぎた故に争いや欲望にまみれるようになりおった。
私は、また世界を1つにしたいと思ってのう。
争いのない平和な世界に……」
「全員を妖精族に……?」
「そうだのう。妖精以外は、削ることも考えたが、それではつまらぬ。
せっかくなら残したい。
そのためにも要らぬ者を排除して、従わせるようにするべきであろう?
共倒れなら、なおさら好都合じゃ。まだあの者が居るからのう。
リゼル。そなたの力が必要じゃ。
私の力のために動いてくれるな?」
「もちろんです。キョウ様のご命令なら喜んで」
キョウ様の言葉にリズは、ニヤリと笑った。
するとキョウ様は、ため息を吐きながら、また月を眺める。
「しかし……やはり予想通りだったのう。
カレンの能力は“無効化”であった」
「無効化とは、どのような能力で?」
「全てを無にする特別な力じゃ。
“無効化”と“悪魔の声”。2つの力が手を組むとは……私も長生きするものじゃのう」
キルア様の質問にそう答えたキョウ様の口元は、クスッと不敵に笑っていた。
その話しは私達は、何も知らされてなかった……。
しかし、その言葉の意味を知り
そして新たな波乱を呼ぶことになるとは思わなかった……。