13
「いつもは、遅いとか言って怒るくせに。
どうしちゃったんだよ?キラ様。あっ?
あぁ……その子を守るためか?」
「ち、違う。お前は、女に対して見境ないからだ!」
「見境ないって……いくらなんでも幼女に手を出したりしないよ。なぁ?お嬢ちゃん」
ニコッと私に笑ってみせるリズって人。
怪しい……。
その笑みが余計に怪しいと思った。
しかし、どちらにしても煌君が私を守ろうとしてくれたのは、意外だった。
私は、そのまま煌君の後ろに隠れた。
「あれ?怖がらせちゃったかな?
心配するなって、彼女を傷つけたりしない。
俺は、あくまでも煌様の護衛を任せられている身だからね。無駄な労力はしない」
そう言うとこちらに近づいてきた。
ち、近づいてくる……。
ビクビクしながら隠れていると煌君は、ボソッと私に……。
「心配するな。変な真似をしたらアイツでも噛みついてやる」と言ってくれた。
煌く……ん?
するとリズは、私達の前に来ると同じ姿勢になるようにしゃがんだ。
「二度目だね?君は、妖精族のお姫様だよね?
俺は、リズ。以後お見知りを……」
ニコッと優しく微笑むと私の手を取り甲に口づけをしてきた。わぁっ……!!
紳士的でキザな態度に心臓がドキッと高鳴った。
しかし、その手をチョップで妨害したのは、煌君だった。
「言っているそばからやるなよ!変態野郎」
「キラ様……酷いな」
ギロッと睨み付ける煌君にリズは、苦笑いしていた。
2人は、護衛と主人らしいが、仲が悪い訳ではないようだ。私も苦笑いする。
「どうも俺のところの皇子は、嫉妬深いようだ。
仕方がない。これならマシじゃない?」
リズって人は、そう言うとまたロシアンブルーに戻った。か、可愛い……。
人型は、怖いと思うがアッシュブルーの綺麗な毛並みに真ん丸瞳を見ると可愛いと思ってしまう。