12
「ちょっと……待ってよ~」
「……やはり遅いな」
「そういう訳ではないもん……ちょっと遅れただけ。
もう一回競争しようよ!」
「何回やっても同じだ。まったく……」
煌君は、呆れながらもまた競争してくれた。
何度走っても煌君には勝てなかった……。
でも一緒に走ることが出来て嬉しかった。
私は、息を切らしながらもニコニコと笑う。
すると、その時だった……。
『おやおや、随分と楽しそうだねぇ~?』
何処からか声が聞こえてきた。
あれ?この声……何処か見覚えがある。
そうしたら煌君が険しい表情になると舌打ちをする。
「出て来いリズ。そこに居るんだろ?」
えっ?リズって……!?
するとスッと壁の上から猫が出てきた。
あ、ロシアンブルーだ。か、可愛い……。
ハッとする。でもリズって……。
ロシアンブルーの猫は、ピョンッと壁を降りる。
するとポンッと共に姿を変える。
その姿は、ロシアンブルーから人型になった。
こ、これが人型と獣の時の違いなのね!?
私は、驚いているとリズって人は、立ち上がるとニヤリと笑う。
アッシュブルーの長い髪に赤い目をしていた。
濃色のベージュのモッズコートに白のVネック。
そして薄いベージュのパンツスタイルだった。
お洒落でカッコいいのだが、チャラそう。
ネックレスとかもしているし……。
しかし、それよりも何を企んでいるのかしら?
人型の姿は、何だか怖く感じる。
すると煌君は、私を庇うように前に立った。
「何の用だ?いつもなら何処かに行っていて居ない癖に……」