3rd:decisive battle A
城門から最終決戦は大激戦区だった。
大魔術でルカが城壁ごと穴を空けて敵を吹き飛ばし、俺は残兵へと斬りかかる。
今日のルカは冒頭から全開モードだ。城壁に無数の穴を空けて焼却魔法で敵一帯を黒焦げにすると、とどめといわんばかりに水流魔術で城の中へと垂れ流す。
「道は開いた。行くわよ」
肩で息をしながらルカが先導しようとする。頷いた俺は水圧で押し開けられた正面の扉の前に立って、俺たちはお互いを横目でとらえる。
「覚悟はいい?」
「いつだってできてるさ。なんでもない毎日に戻る覚悟ならな」
「同感ね。行くわよ」
俺は剣を、ルカは杖を強く握って城内へと走り出した。水浸しになった赤絨毯を踏み鳴らしながら進んだ先には外から流れ着いた魔獣たちが死屍累々と突っ伏している。
エントランスを通り抜け、長い通路を一心不乱に走り続けた末に玉座の間が見えてきた。いやに暗いなと思ったら、壁にかけていたであろうロウソクが床に転げ落ちていて水たまりの中で役目を終えている。城内の惨状は目を覆うばかりだ。
しかし迷う時間はない。いざ、玉座の間へと俺たちは突入する。鎮座する魔王との距離を詰める刹那、唐突にルカが太ももから短刀を取り出して瞬時に放り投げる。一直線に飛んで行った短刀は魔王の頭髪を削ると金属音を鳴らして壁に突き刺さった。惜しい、あと数センチでエンカウントなしで終了できたのに。
「お前ら情緒ってもんがないんか!ええ?」