家出は30分で終了
セブンじゃなくてナナさんはアンドロイドらしい。
アンドロイド人?
そんな国が有ったかな?
それよりも、瀬戸内海の島か。引きこもり……いや、避難先には丁度いいや。
「ナナ、俺の家族に会ってくれるか?」
「マスター、私と結婚したいんですか?」
「え?」
「分かりました。私はマスターの命令には77%従う宿命。結婚します」
「あの、」
「ふつつかなアンドロイドですが、誕生して1000年ほど経ってますが、よろしくお願いいたします」
「あ、うん」
1000年ほど経っている? まあ、姉さん女房はお金を払ってでももらえと言うし。
しかし、俺の命令は77%従うのか。微妙な忠誠心だな。
「じゃあ、家に行こうかな」
「はい」
俺の家出は30分で終ったらしい。ん? 結婚はいいけど、俺は無職だぞ。
「ナナ、俺は無職だ」
「知ってます」
「うん」
「私の貯金が有るので大丈夫ですよ」
「それは助かるけど、ちなみに何円?」
「77億円くらいです」
77万円か。俺は99万円だぞ。俺の方がたくさん持ってるな。2人で176万円なら2年は暮らせるだろう。
「それなら大丈夫だね」
「はい」
「俺の貯金の方が少し多いから安心したよ」
「マスター、意外と貯金してるんですね。少しビックリしました」
「まあね」
で、家に到着した。
ガチャ
あ、鍵をされてる。仕方ない、ピンポンを押すか。
ピンポン~
「はい、どちら様?」
インターホンだ。カメラ画像を見ても、母さんは俺と分からんのか?
「俺、ただいま」
「あ、お帰り~」
「うん」
で、1分くらい過ぎた。
おいおい、母さん。
ピンポン~
「はい、どちら様?」
「俺」
「俺?」
「母さんの息子の四郎だよ」
「何してるの?」
「玄関を開けてよ」
「手が塞がってるの?」
「鍵が閉まってる」
「あー、三郎が閉めたのかも」
「誰でもいいけど、開けてよ」
「は~い」
やれやれ。
ガチャ
「ただいま」
「お帰り~」
「初めまして、お義母様」
「はい。ん? 誰?」
「私、木蔭ナナと申します」
「こかげななさん?」
「はい」
「……私の事をお義母様……パパの隠し子ね! パパ~!」
ダダダダダッ!
「あ、母さん」
母さんは家の奥へと走って行った。