愚者
仙骨をぶった斬り、回転した身体を斥力で止め、斥力で強制的にガシャドクロ擬きの方を向いた。 すると骨達は崩れ去り、大きな骨山が出来ていた。ニーナはソコから何かを取り出していた。 そしてその骨達も光となって消えていった。
「やっと終わったか…… 予知助かったぞ雄介」
「何も聞かずに聞いてくれて感謝する、って俺の能力⁉︎」
「そりゃあ能力は前の雷で予想はついたからな、未来を見るとかそんなだろ、しかし、流石に俺も終わりかと思った。 よくもまぁこんなの相手に戦ってきたな」
「吸収して力上げるとかじゃなく、味方と合体するとは思ってなかったが、よく倒せたな」
「氷川の運がココで一気に使ったかとか言いたいが、実際はどうなんだろうな、雷だって能力の副作用?みたいなモノだった訳だし、弱点でも見れたんじゃ無いかと考えるが、一見した中じゃ、探したい物を探す能力はなかった筈だ」
「お疲れ様です。 本体の仙骨の位置、何で分かったんですか ?」
「外側を薄紫みたいな色が囲っててな、もしやと思ってぶった斬った」
「へー、能力?」
「知らん」
「そんな能力は無かった筈ですよ」
「借りたのは隠者と正義、後月だ、その中に弱点を探すのは無いからただの勘だろ、ソレと、敬語使わなくていいぞ、むず痒い」
「歳上(と怖そうな人)には敬語使う様にしてるんです」
累はそうかと頷くと、他にも来ていた人達を嵐の中の船から可能な限り探し、外へ出た。心は何故か見るからに落ち込んでいた。
「コレで、あの魚達は消えて、他の所に行ける様にはなったんだよな、もうシャチって言うイルカ以外の魚擬きも見ないで済む訳か」
「ちょっと待って下さい氷川さん今何て?」
「? 魚達の事は禁句だったか?」
「違います、鯱って言うイルカって言いました?」
「呼び名の違いが気になるのか? そう言うのは俺じゃ無くニーナ達にでも」
「確かに姿形が似てて哺乳類で海に居ますけど全然違いますからね」
「えっ? 居たの?」
「居ますよ 今からその違いについて、今からたっっぷり教えますからね」
「…… 無知を恨め氷川」
「え? あなた達の所には居ないみたいに言ってたけど」
「氷川さんが知らなかっただけで存在してます」
その後船の中の半分以上の時間はイルカと鯱の説明になった。その説明後、甲板に出て海を静かに見ていた。
「氷川お疲れ」
「テメェか、まさか武器がメガホンだったなんてな、武器を使う技能が無くて他所から取ってきたのかと思ってたよ」
「お前からはハズレか?」
「命令が先ずハズレだ」
「そうか、ソレで、俺たちをいつまで出しっぱなしにする気だ? そろそろ酔ってきたから返せ」
「分かった」
「分からねぇから無理とか言うと思ったが、戻し方知ってるのか?」
「憶測ではな、愚者、有っただろ」
累は白い手帳の最初のページを開き浩二に渡した、ソコのページの能力にはただ一つ 無効化とだけ書いてあった。
「一つしか無いように見えるかもしれねぇが、少し色にムラがある、無効化以外にも有ったみたいだが、塗り潰されてるみてぇだ」
「つまり、ソレだけこの無効化は強力だって事か? 自分の他の能力さえも消す程に」
「そうだ、流石にアソコで試すのは難しいだろ、万が一、能力全部が消えて最初から、なら全滅だろうしな」
「今は良いのか?」
「誰ももう困んねぇよ、じゃあ使うぞ、愚者」
累は愚者を発動すると、一瞬で浩二は消えた。 そして手帳を拾い、確認すると、手帳には能力が残っていた。 そして手帳をポケットにしまい、又静かに海を見ていた。