1
教会、そして王都を出た私はテクテクと歩いていた。
「このまま故郷に戻ってもなぁ、思い入れも無いし両親もいないし、どっか遠くの辺境に籠ろうかなぁ」
私が『聖女の素質あり』と認定されたのが5歳の時、故郷であり小さな田舎の村からいきなり王都に連れてこられて理解が追い付かないあれよあれよと言う間に時は過ぎていって気づけば15歳。
両親は幼い時に亡くしていて頼る親戚もいない。
「あぁ~、そういえば聖獣の『みーちゃん』にお別れ言うの忘れてたなぁ······、あの子私以外に全然なつかないけど大丈夫かなぁ?」
聖獣と言うのは女神様から聖女に遣わされる動物で竜だったり猫だったり犬だったり色々いる。
私に与えられたみーちゃんは猫型で私以外にはなつかない。
と言うか他の聖獣も比較的私になつく。
これは私が村にいた頃、動物の飼育をしていて経験があるのと、何となくだけど動物が何を考えているかがわかる。
これが聖女の力なのかはわからないけど、まぁ多分経験だと思う。
「でも女神様が何とかしてくれるよね······?」
聖獣は女神様の物だから聖女をクビになったら聖獣は女神様の元に返されるらしい。
聖獣の成長ぶりで女神様が評価して大聖女を決める、と司教様に聞いた事がある。
「まぁ、もう私には関係無いか」
王都を出て暫くして近くの町にやって来た。
ずっと歩いて疲れたので今夜は宿に泊まる。
チェックインしてお金を払って部屋に入る。
「ふかふかベッド~、久しぶり~♪」
教会のベッドは固いのでこんなベッドに寝れるのは久しぶりだ。
前に寝たのは国の依頼で結界を張る手伝いをした時に国指定の宿に泊まった時だ。
「まずは腹ごしらえしてこれからの事を考えよう」
空きっ腹では考える事も出来ない。 宿を出て近くの食堂に入って食事をした。
教会にいた頃は食事前にお祈りをしなければならなかったけど聖女ではなくなったのでもう関係無い。
それに教会ではお肉は原則禁止だったので久しぶりにお肉を食べる。
このジューシーで油っぽさがたまらない。
満足してお金を払って宿に戻った。