要の優しさ{改済}
ここはファストル城のグリフェルの書斎。
グリフェルは、先程まで城の屋上から山のふもとを眺めていたが、辺り一面に眩い光が放たれたのをみて危険を察知し書斎の方に避難していた。
「フム。いったい山のふもとの生贄の祭壇で、なにが起こったと言うのだ。光が放たれる前に、龍神バルロス様の姿を確認している」
グリフェルはそう言い考えていると、ボンゼルが部屋に入ってきた。
そしてボンゼルは、グリフェルの側までくると一礼をした。
「陛下。至急お伝えしたいことが」
「ふむ。ボンゼル。もしやと思うが。伝えたいこととは先程、山のふもとで起きたことではないのか」
「はい。その通りでございます」
そう言うとボンゼルは、グリフェルに山のふもとでなにがあったのかを話した。
「なるほどな。龍神バルロス様と、あの涼香という異世界の女が……。まさかあの女にそんな能力があったとは」
そう言いグリフェルは下を向き考えながら、
「
「そうなるかと」
「うむ。できればその力を手に入れたいが。今更、涼香をこちら側に引きこむことは無理であろうな」
そう言いながらグリフェルはボンゼルをみた。
「だがどうにかして、その力を手に入れたいものだが」
「陛下。確かに現状なにもせず、涼香をこちら側に引きこむのは困難かと。ですが、方法がないわけではありません」
「なにか策があると言うのか?」
「はい。無理矢理にでもこちら側に引きこむことができれば良いのですよね?」
「うむ。だが、どうやって引きこむのだ」
「お任せ下さい。その件に関しては私に考えがあります」
そう言うとボンゼルはグリフェルにその策を話した。
「なるほどな。それは名案だ」
「それでは、直ちに遂行したいと思いますので失礼します」
そう言うとボンゼルは、グリフェルに一礼をし部屋をでていった。
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場所は移り。ここはファストル城から北西に数キロ離れた森の中。
涼香と要は龍の里に向かっていた。
「ねぇ要。暗くなってきたね」
「ああ、そうだな。そろそろどこか野宿できるような場所、探さなきゃな」
「うん。そうだね。でも、なんかね。服が少し破れてるせいか、寒くなってきたんだけど」
「涼香。大丈夫か?」
そう言うと要は、自分がきていた服の上着を涼香にきせる。
「これで少しは寒さしのげそうか?」
「ありがとう。でも、要は大丈夫なの?」
「ん?ああ。俺は大丈夫だから。心配すんな」
そう言うと要は涼香に微笑んだ。
「うん。そうだね」
「それにしてもこの辺、木々や岩が多くて歩きづらい。涼香、大丈夫か?足、痛くないか?」
そして2人は野宿ができそうな場所を探し始めた。