平民聖女、追放される
「聖女アマリア、本日限りで聖女の任を解く」
ある日、司教様に呼び出され部屋に入るなり開口一番に出たのがコレだった。
「そうですか、今までお世話になりました」
そう言って私は部屋を出ていこうとした。
「ちょっ、ちょっと待てっ!?」
「なんですか、これから荷物を纏めたり他の聖女仲間に挨拶しなきゃいけないんですけど?」
「あっさりと受け止め過ぎだろっ!? 普通は何か色々言う事があるだろうがっ!? 理由とか今後の事とかっ!」
「大体理解はしてるつもりなんで。私が平民だからで元々聖女に相応しくないとか声があって、新たに公爵令嬢が聖女候補になったから都合よく私を追い出す、そういう事でしょ?」
「いや、まぁ······、そうなんだけど······」
そう言って司教様はモゴモゴと呟いていた。
「元々平民なんで1人である程度は出来ますから」
「······お前はあっさりしすぎなんだよ」
はぁ、と深いため息を吐く司教様。
「当初から色々やらかしていたからなぁ、勝手に畑を作ったり聖樹に登ったり居眠りをしたり王太子様をぶん殴ったり······、だが嫌いではなかったよ。毎日が刺激があって騒がしくもあったが楽しい日々だった」
そう言って司教様は机の棚から袋を取り出した。
「これは退職金だ。一生困らないぐらいの金が入っている」
「良いんですか?」
「国からの手切れ金だと思って構わない。後、王族から王都への立ち入りを一切禁じる、とのお達しだ」
やっぱり王族からの圧力もあったんだなぁ。
確かに王太子をぶん殴ったのはよくないけども初対面でいきなり人を馬鹿にするような事を言われたので私もスイッチが入ってしまった。
私が何か起こす度に司教様がフォローに入ってくれていたのでこの人には頭は上がらない。
「それでは本当に失礼いたします」
「うむ、元気でな」
こうして私は聖女をクビになり只の平民となった。