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「おぎゃああっ~!!」

 そうしたら大きな産声が聞こえてきた。
う、産まれた……!?
安心して力を抜きそうになった。しかし……。

「不知火さん。まだです!
 まだ1人残っています。もう一度深呼吸をして頑張って力んで下さい」

 そ、そうだった。うちの子は、双子だった。
私は、また苦しい陣痛を繰り返した。
 最初の時と比べると楽だったけど……。
もう二度と出産するかと思うぐらいに痛かった。

 二度目の出産をした後は、もう力が抜けてしまい、そのまま意識を失った。

 意識を失っている間、夢を見た。
産まれてきた子供達と課長と一緒にお花見をする夢だった。
 綺麗な桜の木の下で敷物を敷いてお弁当を食べていた。
顔は、よく分からないけど……双子の子供達は、元気だ。
 桜の花びらを見ながらキャッキャッとはしゃいでいた。

 なんとも幸せな家族風景だろうか。
私の……幸せな気持ちになった。
 しばらくして、うっすらと目を開けた。
ここは……何処だろう?知らない天井が見えてきた。

「菜々子、目を覚ましたか!?」

 目の前に心配そうな顔をしている課長が映った。
どうして……課長が居るのだろうか?

「課長……?」

「しっかりしろ。お前は、出産したあと意識を手離したんだ!」

……出産!?するとハッとする。
私は、自分が出産していた事を思い出した。
 そして慌てて起き上がった。

「そうだわ、赤ちゃんは!?」

 気絶をしている場合ではなかった。
大変。まだ出産の途中じゃない!!

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