バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

12


「うん。でも……大丈夫。
 たまにお腹が張るのよね。お産が近い証拠だと思うんだけど」

 双子だから安心は出来ないけど、とりあえずマタニティーの本も読んでいるし。
 とにかくいつでも大丈夫なように日頃から準備をしてある。後は……陣痛が始まれば……くっ!!
 あ、嘘っ……破水しちゃった!?

「菜々子……?」

「真美子……ごめん。破水しちゃったかも」

「えぇっ!?ど、どうするのよ。
 えっと……この場合どうしたらいいの?
あ、で、電話!!」

 私の言葉を聞いてテンパる真美子だった。
落ち着くのよ……と、とにかく。
 そうなってもいいように。準備はしてある。

「真美子……落ち着いて。まだ大丈夫だから!
 私の携帯に登録してあるから、とりあえずタクシー呼んで。
 あとかかりつけの病院と課長達に連絡を」

「わ、分かったわ!!」

 私が必死に指示を出すと真美子は、慌ててテーブルに置いてあるスマホを取りに向かう。
 少し経つと痛みが少しずつ引いてきた。
私は、必死に立ち上がりソファーに置いてあるカバンを持った。
 保険証と診察券は、入れてあるしOK。

「菜々子、お待たせ。今タクシー呼んだから」

「ありがとう……」

 変な汗が出てくるけど大丈夫。まだ間に合う。
しばらくしてタクシーが来た。
私と真美子は、タクシーに乗り込んだ。

「どう?お腹の方は……大丈夫そう?」

「う……ん。さっきから楽になったり、激しい痛みになったりの繰り返し……ぐっ!!」

しおり