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「分かりました」
私は、ニコッと笑顔で返した。
1人で出産と子育てをするのだと考えると不安がないのは、嘘になる。
想像するだけでも心臓がバクバクする。
でも、課長が働きに行っている間は、どのみち1人になるし、早めに仕事にも復帰したい。
なら、それぐらい我慢しないとならない。
笑顔で居ると課長は、私の頭をポンポンと撫でてきた。
「お前は、強情な所があるから心配だ。
無理なら無理だと言ってもいいんだぞ?」
「課長……」
彼は、気づいているのだろう。
私の気持ちに……。
思わず課長を抱きついてしまった。
「課長……じゃなかった。誠さんは、心配性よ。
私は、そこまでやわな女ではないわ。
それにお互いに協力したり、歩み寄るのは、夫婦として当然ですから心配なんていりません」
そうよ。私は、そんなやわな女じゃない。
目標のためなら全力で突っ走るだけ。
目指せ、息子の芸能界入りよ!!
勝手ながら新しい目標を作り張り切った。
「そうたな……お前らしいな」
「えへへ……」
課長がクスッと笑うので私も笑顔になった。
課長が笑顔を見せてくれると嬉しい。
頑張らなくちゃあ!!お腹の2人のためにも……。
それから月日が過ぎ予定日が迫っていた。
課長は、無事に課長から部長に就任する事が決まった。
正式の就任は、4月からだがその前に引き継ぎとかで忙しくなるとかで遅くまで忙しそうだ。
私も産休に入ることになった。
ギリギリまで働いていたけど、さすがに大変だからと周りの子達から休めと言われる。
代わりに店長代理を Aランクトップの桜葉君に頼む事にした。責任感の強い彼なら任せられるから。
今日は、同じく妊娠したと発覚したばかりの真美子が自宅に遊びに来てくれた。
「ごめんねぇ~こっちに遊びに来てもらっちゃって」