06
「なれますよ!俺らに優しくて凄く面倒がいいですし。
俺……お母さんのこと覚えてないから、奈々子さんが、お母さんだったらいいのに……なんて。
日頃から思っていました!」
それは……もう天使の笑顔で。
正直お母さんの言葉に複雑になるが……。
私は、こんな大きい子供が居るほど年じゃない。
でも、裕太君が子供だったら……旦那さんは誰?
も、もしかして……。
「私が……お母さんならお父さんは……やっぱり陸さんかしら?」
「はい」
ニコッと笑顔で返事をされる。いい……。
私とお義兄様が結婚をして息子さんが、裕太君なら完璧の理想家族だわ!!
思わず3人の家庭を妄想をしてしまった。
「菜々子さん……よだれ」
ハッとする。いけない……つい妄想しちゃったわ。
ダメダメ。私は、課長の妻なんだから!!
「でも菜々子さんは、誠叔父さんが旦那さんだから仕方がないですけどね。
俺……どっちにしても嬉しいです。菜々子さんと親戚関係になれたから」
裕太君の言葉に私は、心臓を撃ち抜かれる気分だった。
なんていい子なの。そんな嬉しいことばかり言ってくれて、抱き締めたくなるぐらいに可愛いじゃない。
私がもっと若くて、それなりに可愛かったら裕太君にもぞっこんになっていただろう。
何とも惜しい逸材だろうか。
そんな風に悔やまれる1日だった……。
その後は、私は、気持ちを改めて自分なりに参考書を読んで勉強をした。
課長の買ってきた本は、たくさんあるから読み応えがある。
お腹の子のためにも頑張らなくちゃあ!!
それから月日が経ちお腹も大分目立つようになってきた。双子なので、重みも2倍だ。
今日は、診察日だった。私は、待合室で待っていた。
「不知火さーん。不知火菜々子さん」
「あ、はーい」
やっと順番が回ってきたようだ。
重いお腹を抱えながら立ち上がる。
診察室に入るとイケメンの高野先生に診察をしてもらった。