11
エレベータで上がり部屋に向かう。
課長が鍵を開けて部屋に入るとそのままキッチンに。
手を洗っていると沙夜さんが……。
「そういえば不知火君から聞いたけど宮下さんって料理上手なんですってね?」と尋ねてきた。
「えっ?まぁ……調理師免許を持っているので」
課長……私の事を話したの!?
一体、いつの間にその事を話したのだろうか?
私がブツブツと文句を思っている間にも話したの?
すると沙夜さんは、尊敬の眼差しで……。
「凄いわねぇ~私は、料理とか全然ダメなのよね。
ぜひ宮下さんに教えて貰いたいわ」
私にそう言ってきた。はぁっ?
私が教えるのですか?この人……からかって言っているのだろうか?
有りえる……見た感じ料理とか得意そうに見えるし。
すると課長が「俺も手伝う!」とこちらに来た。
だが沙夜さんは、ニコッと笑う。
「あら、2人で大丈夫よ。
宮下さんに手取り足取り教えてもらいながらやるから。
ねぇ?宮下さん」
そう言いながらこちらを見てきた。
ちょっとまだ教えるとも言っていないんですけど!?
しかし、そんなに笑顔で言われると言い返せない。
「まぁ……」
「ほら、宮下さんもそう言っているわ。
不知火君は、大人しくお酒でも飲んで待っていて。
ほら、邪魔、邪魔」
そう言いながら課長を強引にキッチンから追い出してしまった。す、凄い……。
課長に対して強く言えるなんて。
沙夜さんって見た目は、上品そうに見えるけど意外とサバサバしているかも。
「さぁ、一緒に作りましょう」
ニコッとこちらを見て笑顔になる沙夜さん。
一瞬その笑顔に裏があるように感じた。
気のせいだろうか……?