08
「は、はい。失礼します」
慌てて頭を下げて席に着いた。
まるで、説教されるために呼び出しをされた気分だ。
ビクビクしながらテーブルを見ると美味しそうな和食が並んでいた。
これは、またご飯に具がたくさん入った味噌汁。
秋刀魚の塩焼きと納豆。
他にも栄養バランスを考えた品揃えだった。
す、凄い。こんな凄い品揃えの朝食を食べたのは、旅行以来だろう。
「凄いですね。これ全部課長が作ったんですか?」
「……俺以外、誰が居るって言うんだ?」
「それも……そうですね」
せっかく褒めたつもりなのに……反応が冷たい。
それに気まずい……。
もうちょっと、優しくしてくれてもいいのにと思ったが昨日の今日だしな。
「いただきます」
私は、渋々手を合わせて味噌汁を飲んだ。
お、美味しい!!
ダシもちゃんと入っていてとても美味しかった。
具も豆腐になめこや野菜などが、たくさん入っていて、これだけでもお腹が膨れそうだ。
「か、課長。とても美味しいです」
「……そうか」
シーンと静まり返る。会話が続かない……。
もともと課長は、無口だ。
何度か食事に行ったが、この時も婚活の話以外あまり会話と言う会話がなかった。
こうなる事を分かっていても今日みたいな日は、気まずくて仕方がない。
私は、無言のままお味噌汁をすする。
やっぱり……まだ怒っているのかしら?
するとその時だった。
「宮下」
「は、はい!!」
急に名前を呼ばれたので慌てて返事をした。
若干声が裏返ってしまったが……。