06
「……ごめんなさい。……ごめんなさい」
何度も何度も謝った。そんな私を課長は、抱き締めてくれる。
泣き止ますように優しく背中を叩きながら。
その後、課長の車に乗せてもらった。
なかなか泣き止まない私を泣き止むまで待っててくれた。
寒くないようにブランケットまで掛けてくれてずっとそばに居てくれる。
すると泣き疲れたせいなのか、また課長のそばでホッと安心したせいか分からない。
私は、いつの間にか眠ってしまった。
どれぐらい眠ってしまったのだろうか……?
目を覚ますと知らない天井が見えた。
ここは……何処?
泣き疲れてしまったせいか気分も身体も重い。
ぼんやりする意識の中でムクッと起き上がると周りを見た。
目の前に見える景色は、随分と整理整頓されていて綺麗な部屋だった。
「ここは……何処?」
自分の部屋ではないのは、明らかだ。
するとドアが開いた。
入ってきたのは、不知火課長だった。
「宮下。目を覚ましたか?」
えっ……?何で課長が!?
意味が分からずに混乱していると課長は、それに気づきハァッとため息を吐いてきた。
「あぁ、お前が車の中で寝てしまったから俺が部屋まで運んだんだ。
今度は、何回も揺すったり呼んでも起きないし
さすがに本人の許可なくお前の部屋に連れて行く訳にも行かないからな」
そう言って説明をしてくれた。
あまりにも驚いて頭の中が余計に混乱する。
えっと……それってつまりここは、課長の家!?
ハッと何かに気づく。
私は、慌てて身なりをチェックする。
なんともない。上着だけ脱いでいるけど、ちゃんと着ているわ。
私は、ホッと胸を撫で下ろした。
良かった。失恋とショックやらで頭がおかしくなって、課長と一線を越えたのかと思った……。
そうしたら課長は、またハァッとため息を吐いてきた。
「まったく、ホッとするとか失礼な奴だな。
心配しなくても抱きかかえる時以外は、無闇にお前を触れていない。俺だったからいいものの……宮下。
お前は、警戒心とかないのか!?
そんな無防備で他の奴だったら大変な事になっていたんだぞ?」
課長は、呆れるように説教をしてきた。
ごもっともです。
どうやらまた、恥ずかしい所を課長に見られてしまったようだ。
うぅっ……しかも何かされたと勘違いして確認をするなんて。穴があったら入りたい気分だ。
「す、すみませんでした」