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 しかし、まったく気づきもせずに案内してくれた。
まぁ、当然か。私みたいなレベルの人間なんてたくさん居るから見分けがつかないわよね。
 ちょっと残念な気持ちになるが、今はそんな事を思っている場合ではない。
 席に案内され座ると手慣れたように注文する安西さん。

「安西さんは、このような場所は慣れているんですか?」

「えっ?何年か前に行ったぐらいですね。
 ここは、初めてですが。彼女が居ないとなかなか来れない場所ですからね」

「そうなんですか……」

 それもそうか……彼女さんが居ないのなら。
今の所は、エスコートも完璧だ。
 まぁ、タクシーで移動したのは、少し驚いたけど
あ、そうだ。美希に場所を教えておかなくちゃあ……。

「ちょっと、お手洗いに行ってもいいですか?」

「どうぞ、奥の右側にありますよ」

 安西さんは、ニコッと笑顔でそう言って教えてくれた。
 何故初めてきたところのお手伝いの場所を知っているのかしら?
 疑問に思いながらも許可をもらいお手洗いに向かった。
 女子トイレに入ると美希に場所をメールで送った。

 行き場所が決まったら教えてと言われたからだ。
どうして場所を聞きたがるのか分からないけど……?
これでよし。無事に送信が出来た。

 私は、メイクを直して戻ろうと女子トイレから出る。
すると、あのイケメン店員さんにぶつかりそうになった。

「あ、失礼致しました」

「いえ、こちらこそ……すみません」

 うわぁー間近で見るとさらにイケメンだわ!!
やっぱり我が家のお店で働いてほしい。
 間近で見るイケメン店員さんにうっとりと見惚れていると……。

「あの……この前、当店にお越し下さいましたよね?
確かあの時は、不知火様としてですが」

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