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「そうか。料理教室か……なかなか悪くないな」
課長は、意味深そうに呟いていた。
まさか、同じのを選択しないわよね?
不安に思っていると店員さんが料理を持ってきてくれた。話が途中で中断してしまう。
結局、分からないまま食事を済ませた。
食事は、課長と一緒ではなかったら、どんなに美味しかった……。いや、確かに美味しかったけど。
ただ緊張で、あまり食べた気がしなかった。
食事が終わると会計を済ませることに。
すると課長がご馳走してくれた。
「じゃあ俺は、行くが。必ずコースに行くのだぞ。
契約期間に辞めると会費は、戻って来ないし
何より中途半端で終わらすような真似だけはするな。いいな?」
「は、はい。お疲れ様でした!」
慌てて頭を下げる。
あれ?完全に支配下に置かれてしまった。
辞めたいのに辞めることも出来ないなんて……。
ハァッ……ツイてない。
お母さんから無理やり結婚しろと無理やり会員にさせられてうんざりしているのに……。
よりにもよって不知火課長に会うなんて最悪だわ。
やっぱり行かないといけないのかしら?
しかし、行かないとどうなるか分からない。
でも、行かなければ二度と会うこともないか……なんて
ブツブツと考えながら帰って行った。
そして翌日。
ぼんやりとその用紙を見ながらため息を吐いていた。
どうしたものかと考えながら……。
するとひょっこりとイケメン店員の天野君が顔を出してきた。
「どうかしたの?菜々子さん」
天野君は、可愛い系のイケメンで、小柄だけど明るく人懐っこい性格の男の子だ。
あぁ可愛い……癒し系の子犬みたい。
私は、それを見て心の中で癒されながらも表では、苦笑いした表情をする。
「ううん。ちょっと疲れちゃって」
「無理しないでよ?菜々子さんが倒れたら僕泣いちゃうからさ~」
心配そうに言ってくれる天野君に胸キュンした。
可愛い……抱き締めたい。
するとスッと私の前に紅茶が入ったカップを置かれる。えっ……?
振り向くともう1人のイケメン店員・桜宮君が爽やかな笑顔を見せてくれた。
「どうぞ。疲れた時は、ハーブティーがいいですよ」