1 世界の外側より。
20XX年
ある探検隊が南極大陸で特殊なワープウォールを発見した。
ワープウォールとは、南極中央部にドーム状で存在しワープウォールの中に入ろうとするとワープウォールから5キロほど後方にワープする。
つまりドームの中は、未だ人類未開の地だと言う事だ。
民間のヘリコプターに乗りどこかに向かう少年、新端異斗(あらはた・あやと)
今一番熱い都市伝説、南極のワープウォール オカルトマニアとして一度はこの目で見てみたい!
そんな俺が通う高校の修学旅行が、まさかのニュージーランド! そこで開かれる南極ワープウォールツアー 行くしかないっ!
アヤトが座る席の向かいでカップルがここぞとばかりにイチャついている。
こいつら自由時間に一人で行動してる俺へのあてつけかよ。
「着陸します!」
ツアーガイドのお姉さんがそう告げた。
ヘリコプターを降りると氷の大陸が広がっていてアヤトは感じたことの無い解放感を感じる。
「では、私について来てください」
ガイドの後ろをついて行く、アヤトとカップル。
ワープってどんな感じなんだろ? ちょっと緊張してきたな......
そんな事を考えているとガイドが立ち止まる。
「あちらの旗の奥に、ワープウォールがあります」
氷の地面に旗が刺さってる。
「何も見えないっすよ?
ワープ何とかって何処っすか?」
カップルの彼氏が、ガイドに尋ねる。
「目には見えないんですよ。それでは、お手元の端末のGPSを確認してください」
事前に渡された端末を見ると地図が表示されている。
「現在地が旗のマークの所ですが、ワープウォールを抜けると、一瞬にして5キロメートル離れたベースキャンプにワープします。 その為ワープウォールの中には、入りたくても入れないんです。 では早速どなたか通り抜けてみましょう!」
「あんた行きなさいよ〜」
「えっいや......」
カップルが揉めている。
「あんた先行けよ」
カップルの彼氏が異斗に向けて言放った。
「あっはい......」
つい即答してしまったアヤト。
ビビってんじゃねーよ! お前が行けよ!
そう思いながら異斗は旗に向かって歩き出す。
まぁワープするだけだろ? 怖がる事ねぇよ。
アヤトは怯えながらも旗を越える。
旗は通り過ぎたけど、ワープできたか?
異斗は後ろに振り返る。
誰も......居ない。
マジでワープできたのか? すげー感動したっ! ここがベースキャンプか?
周りを見渡すが何もない。
俺は手頃な岩に腰をかける。
ここで待ってれば、いいんだよな?
10分後
......
20分後
どんだけビビってんの? あいつら!
早く来いよ!
30分後
遅すぎーっ!
何してんだよあいつら......
そうだ端末であいつらに連絡をっ
ポケットから端末を取り出し、現在地を確認する。
は......?
はぁ⁉︎
何コレどう言うとこ?
落ち着け......コレはつまり......ワープウォールを......越えちまってる⁉︎
はぁぁぁーーー⁉︎
アヤトは理解不能な状況でパニック状態に陥る。
「ワープウォールは超えられないんじゃねーのかよ.....」
とりあえず、あいつらの所に戻らねえと。南極遭難なんて、洒落にならねーぞ!
アヤトはGPS端末で旗が刺さっていた場所の方向を確認し10分ほど歩く。
急に冷えてきたな、寒すぎる......今どの辺りだ?
ガクガクと震えながらGPS端末を確認する。
はぁ?
逆走してる......? いや、方向は確認したはず......落ち着け。
アヤトは自分の置かれている状況を整理する。
これって.....ワープしてる⁉︎
ワープウォールの中に入れないのと同じで
外にも出られないんじゃ......
その日アヤトは人類未開の地に一人で閉じ込められた。