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終章

あれから日常生活に戻って数ヶ月たった。

林一家惨殺は峯岸、徐、呉の3人が強襲しエアコンダクトからセボフルラン等催眠ガスで眠らせてからの犯行だった。

高濃度の催眠ガスで身動きできない状態で襲う卑劣な犯行。奥さんと娘はファミリーの中で次の裏切り者が出ない様、見せしめとして残虐な方法を選ぶのは中国マフィアではよくあるらしい。

 元々 林彩乃こと彩麗が日本国籍を欲した擬装結婚だったが子供が生まれてから考えが変わり組織から抜け出す算段をしていた。

それを呉に気づかれて命を奪われたのだ。

抜け出す際に呉の会計情報など流出する事を恐れたのだろう。峯岸はファミリーの闇金に手を出し強請られはじめ呉の用心棒や捜査情報を流していたようだ。

徐の逮捕で呉は峯岸に口封じで徐の始末を依頼した。それが失敗に終わったとみるや海外に脱出している。ただ、彼の活動の舞台は日本だ。国外追放された徐と同じくまた日本に戻って来るかもしれない。

明日菜は証拠物件第イ20-4653として保管室で返却先の無い物証として保管されている。

  ☆

ポストに真っ白な封筒が入っていた。
吉澤の奥さんからだった。
生前の写真と仏壇の中に遺影と一緒に並べられた人形の写真の二葉。

私には生前の姿より明日菜に憑依した後の方がイメージが強かった。

娘さんが話しかけても反応しなくなったので旅立ったんだろうという奥さんの言葉が手紙に記されていた。

「吉澤は勇者として新たな旅に旅立ちました」

(完)

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