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装備を整える


「すみません、実はこの人形にあう服を探してまして・・・」

階下の店にやって来てまた店員に直接ドールをバッグから取り出しながら聞いてみた。

もう何回かあちらこちらで同じようなやり取りをしてきたので恥かしさも薄れてきた気もする。
だけれど、裸同然の人形を手にして女性店員に話かけるというシチュエーションはある意味セクハラなんじゃないかとちょっと後悔した。

「ちょっと見せてくださいね〜」

女性店員は受け取ると胴体を包んでいたティッシュをめくり覗き込んだ。

『うわっ、いきなり剥ぎ取ったら恥ずかしいだろ!』

「黙ってなよ、今調べてもらってるんだから」

「はい?」
「いや、なんでもないです」

「⚪︎✖︎△〜のLLボディですね。今在庫はあまり無いけどいくつかありますよ〜持って来てみますね〜」

そう言うとおくから何点か小さなパッケージをいくつか持って来てくれた。

『もうちょっとシンプルでスカートじゃなくてズボンはないの?ズボンは』

「ズボンのってないんですかね?」

「いまあるだけなんですよ〜」

「いまあるだけなんだってさ」
『そうなのか、うーん・・・」

「はい?」

「すみません、独り言です。」

「あの〜ひょっとしてこの子とお話してます?」
「え・まあ、はい。」

「あー、やっぱり。この子の名前、なにチャンなんです?アスナちゃん?」

『!!』

「なんで知ってるんです?」

「なんで、ってこの顔のキャラがアスナちゃんだから・・・」

「あ、そうなんですか。実は人形というかドールのコトよくわからなくて・・これもある伝から譲られたんですけど・・・。」

実際、自分の人形じゃないし入手方法話しても・・・ねぇ?

店員の話だとデフォルメされたアスナという人形の頭がなんちゃらかんちゃらの胴体にくっついているらしい。なるほど、だから少々頭が大きく感じたんだ。

「あ、それと聞いてみたいんですけど人形と話している人っています?」

「うーん、・・・あまり居ないけどたまーにいるかな?」

目の前の女性店員は飛び切りの営業スマイルを高梨に送った。

『多分、あんた逝っちゃってる可哀想な人と思われてるぞ』

「ああ・・。」

「アスナちゃん、どのお洋服がいいかなぁ?」

店員は人形を仲介にして高梨に売り込みをかけてくる。

よく飼っている犬を仲介にしてコミュニケーションとる手法に似てる。

「4800えん?俺の着ているシャツの倍してるぞ?こんな小さいのに?」

「あ、それドール趣味の方の殆どの方が最初の頃実感されてますね!」

にっこり。

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