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53話〜クロノアが天井に風穴をあける

 その頃クロノア達は、相変わらず抜け道をひたすら探していた。

「はぁ。いい加減疲れたんですけど」

 クロノアは歩き疲れふらふらで岩壁に寄り掛かりながらそう言った。

「ふむ。確かにこのままでは体力を無駄に浪費するだけだな」

「グロウディス。確かにそうだな。何かいい方法があればいいのだが」

「テリオス様の言う通りだ。例えばここを抜け出す召喚魔法みたいなものがあればいいのだがなぁ」

 グロウディスがそう言うとクロノアが意地悪気味に、

「チビ悪魔を大量に出すとか?」

「ク、クロノア様!?そ、それはもう言わないで〜〜」

「クスクス。まぁ、それは置いといて。このままここにいても、埒が明かないのも事実だし、どうしようか?」

 そう言うとクロノアは少し考えたあと何かを思いつき、

「そうだ!どうせ私達がこの城にいる事が敵にバレているなら、この際強行突破と行きませんか?」

「ん〜、そうだな。確かにこのままでは埒が明かない。それしかないか」

 グロウディスがそう言うと、ディアナもテリオスもそれに納得して頷いた。

「ですが、強行突破するにも誰がやるのですか?」

「ディアナ。もちろん、私がやるに決まってるでしょう!」

「クロノア様がやると言うのか!間違っても城ごと破壊しないで下さいね」

「いくら私でも、そこまで強力な魔法使いません!」

「クロノア様………()()()()ますから……」

 ディアナがそう言うと、3人は近くの大きな岩の後ろに隠れた。

「あのねぇ……まぁいいか」

 そして、クロノアは杖を構えると天井目掛け、

 《ウインド プレッシャー ブラスト!!》

 呪文を唱えた。そして、杖から漆黒の光が放たれ、密度の濃い魔力の渦が集まり天井目掛け勢いよく上昇し貫き、同時にもの凄い威力で爆発し天井を破壊した。

「うわ〜これは……」

 テリオスはそう言いながら頭を手で覆っていた。

「すごい魔法なのは分かりますが、流石にこれはやり過ぎかと」

 ディアナはそう言いながら破壊され穴が空いた天井を見ていた。

「いくらなんでもやり過ぎ!もし上に人でもいたらどうするつもりだ!?」

 グロウディスはそう言いながら穴の空いた天井を見たあとクロノアをみた。

「あははは……流石にこれはやり過ぎたかなぁ」

「クロノア様。いつもの事ながらやり過ぎです」

 ディアナにそう言われクロノアは少し申し訳なさそうに、

「ごめんね。でも、穴があいたし丁度落ちて来た石で上に上がれそうだし。結果オーライという事で……」

「確かにそうだな。あとは上に誰もいない事を願って行くとするか」

 グロウディスがそう言うとクロノア達は微妙な表情のまま恐る恐る上に上がっていった。


 そしてその上では、丁度シグマとエマがハクリュウ達に攻撃を仕掛けようとしていた直後だった。

 するといきなり床が爆風と共に崩れ、慌ててハクリュウ達とシグマ達はギリギリそれを回避した。

「えっと……恐らくこんな無茶苦茶な事する奴は、あいつしかいない」

「確かに、クロノア様以外には考えられないと思う」

 アリスティアがそう言うと、ハクリュウ達は今から現れるであろうクロノアをその穴から覗き待っていた。

 そしてシグマとエマは、今何が起きたのかが分からずに呆然とその場に立っていた。物陰で様子を見ていたライロスも、何が起きたのか理解出来ずにいた。

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