47話〜拉致される
その頃、ブラットはコトネの事が心配で駆け寄って来ていた。
ブラットはビスカにやられ座りこんでいるコトネを見て、
「コトネ、怪我はどうなんだ?」
ブラットが心配そうな顔で見ていると、
「つぅ、痛いに決まってるでしょ!もう、本気でやるんだから!ビスカおばさんは、っとに、もう!」
「良かった。怪我はしてるみたいだけど、元気そうで」
「あのね。怪我してるのが分かっているなら、ブラット薬か何か持ってないの?」
そう言われブラットはバックの中を探してみた。
ブラットがバックの中を覗いていると、ジェシカとレフィカルが声をかけてきた。
ジェシカはブラットの顔を見るなり、
「ふう〜ん。お前がブラットか?ん〜、ガルドには似てないようだけど、カトレアに似たのかな?」
「本当に、こいつがガルドの息子なのか?どうしても、そうは見えないが?」
ブラットはバックにあった回復薬をコトネに渡した後、
「ちょ、ちょっと待て!なんなんだ?さっきからよってたかって言いたい放題。あんた達はいったい誰なんだ?」
「へぇ〜、なるほどね。クスクス、そういう顔も出来るのね。あっ、そうそう。私はジェシカで、こいつはレフィカル。そしてガルドとカトレアとは、昔の仲間なのよね」
「親父と母さんの昔の仲間?でも、何でこんな所に?」
ジェシカはふとある事を思いつき、レフィカルに耳打ちし、ブラットとコトネから離れた。
レフィカルとジェシカは小声で話し出した。
「……って、おい!そんな事がバレたら不味いんじゃ」
「でも、今しかないと思わない。こいつを連れてけば……」
「ジェシカ、お前本気か?ガルドとカトレアは、確かに離れた所に居る。だけど、もし気づかれたら」
「だけど、今しか……とにかく、ブラットを拉致する。いいわね、レフィカル!?」
ジェシカはブラットの方に歩いて行った。
レフィカルは溜息をつきながら、
「はぁ、知らないぞ!どうなっても……俺は」
レフィカルもブラットの方に歩いて行った。
「ねぇ、ブラット。話したい事があるんだけど、ここじゃなく向こうで話さない?」
「そうだなぁ。でも、やっぱコトネが心配だしなぁ。ここじゃ駄目なのか?」
「なら、俺が少しの間見ててやろうか?」
「ん〜、でもなぁ。何でここじゃ駄目なんだ?」
「出来ればね。ブラットだけに話したいのよね。この事は」
ブラットはコトネをチラッと見てから、
「んー、なら仕方ないか」
ジェシカとブラットはコトネやガルド達と離れた場所まで行った。
それを見ていた、コトネは立ち上がり止めようとしたが、レフィカルがそれに気づき、小瓶に入った薬を嗅がされ眠ってしまった。
レフィカルは、ガルド達に気づかれないように、ジェシカとブラットがいる場所に向かった。
そしてジェシカとブラットは人気の無い場所で、話を始めた。
「あの〜、ジェシカさん?ここって、親父達からかなり離れ過ぎなんじゃ」
「ええ、そうね。ふふふ……それでいいのよ」
「それでいいって、どういう事何だ?もしかして、親父と母さんの昔の仲間って嘘なのか?」
「それは本当よ。だけど、あの2人には悪いけどね。あなたには、どうしてもこのまま先に、進んで欲しくない人がいるのよ」
「それで、親父達から遠ざけたって事か?」
「ええ、そういう事よ。だから大人しく、私に捕まりなさいね」
するとそこにレフィカルが来たので、ブラットはコトネが心配になり、
「おい!コトネはどうしたんだ?何かしたんじゃ無いよな?」
「ふっ、薬で眠らせただけだ。心配はいらない」
「レフィカル。とにかく、ガルドが気づく前に、こいつを捕まえて、ここを離れるわよ」
ジェシカとレフィカルは、ブラットに攻撃を仕掛けた。
「ちょ、ちょっと待て!何なんだよ。クソォ〜、何でこうも狙われるんだ。いったい、俺が何をしたって言うんだよ」
ブラットは仕方なく昨晩作り変えた聖剣を握った。
するとジェシカとレフィカルは、ブラットめがけ短剣を数本、投げつけた。
そして、ブラットは聖剣でガードし避けようとするが避けきれずに短剣が数ヶ所に刺り、動けなくなった。
するとジェシカとレフィカルは、すかさずブラットに詰め寄り、口を布で塞ぎ縄で拘束した。
(クソォー、こんな所で……てか何なんだよ!あー、どうなるんだ?このまま……ごめんフェリア、俺は……何をやってるんだ。俺は何でこんなに弱いんだ……)
そう思いながら必死で抵抗し暴れたが、レフィカルに薬で眠らされ寝てしまった。
そしてジェシカとレフィカルは、ガルド達に気づかれないようにブラットを連れて行ったのだった…。