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37話〜弱点

 ここは洞窟の最深部にある空洞。

 ガルドは大虹色スミレの動きを警戒しながら、どうやって倒したらいいのかを考えていた。

(これで思いっきり戦う事が出来る様になった。ただ、問題はこの大虹色スミレをどう倒すかだが。弱点さえ分かりゃいいんだがな)

 そう考えていると大虹色スミレは地中に潜り、ガルドはそれを見て気はいを探った。

(クッ、何処に行きやがった!俺は草花に詳しくねぇ。……そういえばコイツ、どうやって俺の動きを探っているんだ?)

 そう考えていると大虹色スミレはガルドの意表を突き背後に現れた。

 慌てて振り向きながら剣を振るが届かず、大虹色スミレの鞭のような蔦が、ガルドの左脇腹を捉え岩壁に叩きつけた。

「グハッ!?はぁはぁはぁ……。ク、クソッォォッ!」

 ガルドはそう叫び岩壁に叩きつけられ全身に傷を負い血を流し、フラフラになりながらも剣を杖がわりにし立ち上がった。

(はぁはぁ、コイツとどう戦えってんだ?)

 そしてガルドは大虹色スミレを見ていてある事に気付いた。

(そういや。はぁはぁ……。コイツには目が無い。それなのに俺の居場所が分かっている。はぁはぁ。何でなんだ?)

 そう考えていると大虹色スミレはガルドに近付いて来ていた。

(はぁはぁ……。クソッ!休んでる暇はなさそうだな。……ちょっと待てよ。そうか、そういう事か。コイツには目が無い、だが俺の居場所が分かる。って事は、音で気はいを感知してるのかもしれねぇ。試してみねぇと分からねぇが、一か八かやってみるか)

 そう思った後、ガルドは試しにバッグの中から携帯用の小さめのフライパンを取り出し岩を思いっきり叩いた。

 その音は「ゴオォォーォーン〜……」と鳴り響いた。

 そして、フライパンはガルドが思いっきり岩を叩いた為、壊れ使えなくなった。

「あっ!はぁ、まぁいいか。また違うの買えばいいしな」

 そして大虹色スミレはガルドに近付いて来ていたが、その音があまりにも大きかった為、気はいと音を探る事が出来なくなり、その場から動かなくなった。

(なるほど、やっぱりそうか。それなら……)

 大虹色スミレは体勢を整えると、ガルドの方に近付いてきた。

 しかし、大虹色スミレはガルドの気はいや足音を探ろうとしていたが、いくら探してもガルドの気はいや音を感知する事が出来ず、辺りを見渡すようにキョロキョロと顔を動かし探し始めた。

 ガルドは大虹色スミレの目の前にいた。そして、気はいを消し音をたてず息を止め剣を構え、大虹色スミレの隙が出来るのを伺っていた。

 大虹色スミレはガルドの気はいが消え、いなくなったのかと思い諦め、ガルドに背を向けた。

 ……ガルドはその一瞬を見逃さなかった。

 ガルドは大きく息を吸い込み、剣を両手で持ち左脚で岩を思いっきり蹴り弾みをつけ飛ぶと、大虹色スミレ目掛け一直線に大虹色スミレの花の部分の背後を剣で突き刺した。

 大虹色スミレはガルドに不意を突かれ、

「ギィギヤャャァ〜」

 と奇怪な声を上げその場に倒れた。

 大虹色スミレは倒れ地中に張り巡らされていた根が地面に浮き上がり縮んでいった。

「あっ!そうか……。音だけで無く、この根っこで動きや気はいを探っていたって事か」

 そう言いながらガルドは大虹色スミレが息絶えた事を確認した後、バックから縄を取り出し縛った。

「フゥ、これでいいだろう。だが、他の虹色スミレは何で俺から逃げて行くんだ?」

 そう言うとガルドは虹色スミレの群れを見渡した。

 虹色スミレの群れはその気はいを感知し更に奥へと一つに固まるように逃げていった。

「まぁいいか……。ここは片付いたしな。そろそろ街に戻るとするか」

 そう言うとガルドは大虹色スミレを担ぎ洞窟を後にした。

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