33話〜心の葛藤
ここはティールの街の宿屋。ガルドは荷物を取りに戻って来ていた。
虹色スミレを取りに洞窟に行く為に必要な物をバックに入れていた。
(クッ、何で、俺はいつも一人で戦わなきゃならねぇんだ!?仲間が側にいても結局は……)
そう思っているとグランワルズがガルドの頭の中に話し掛けてきた。
“ガルド。今は、周りに誰もいないようだな”
そう聞こえて来たので目を閉じると、
(……何の用なんだ?今、凄く機嫌が悪いんだが?)
“そのようだな。ガルド、これもお前が英雄王になる為に必要な試練。お前の気持ちは分かる。だが、辛いだろうが耐えて欲しい。我はお前を守る事と可能な限りの手助けは出来る。お前さえ望めばな”
(はぁ、まぁやるしかねぇしな。そんな事を言う為に、わざわざ話し掛けた訳じゃねぇよな?)
“ああ、そうだった。先日、お前に話そうと思っていたのだが。エクスダールとシェイナルズが、お前を、自国に引き入れる為に動き出した”
(なるほどな。それで魔族に狙われたってわけか)
“ガルド。これからは、エクスダールやシェイナルズだけでなく。他の国に、お前の存在が知れ渡れば、今まで以上にお前を自国へと引き入れようとする国が増え、更に困難になって行くだろう。今回の試練など及ばない程にな”
グランワルズにそう言われガルドは下唇を噛み締め自分の両頬を強めに叩いた。
(クッ、そうだな。こんな事で弱音を吐いてなんていられねぇ。一人で、やらなきゃならねぇなら、やるしかねぇよな……)
“ああ、そういう事だ。ガルド、我はいつもお前の側にいる。必要な時は、心の中で強く思い呼べ……”
そう言うとグランワルズは姿を消した。
ガルドはそれを確認すると、
(はぁ、やるしかねぇ。それに、もう後戻りは出来ねぇしな)
そう思いながら身支度を整えた後、ガルドはふとある事に気が付き外をみた。
(そういえば、もう夜だよな。ん〜今から行くか?それとも、明日の朝早くここを出るか?ユリィナ達の事は心配ないと思うが、出来ればなるべく早くこの件を片付けてぇしな。暗いが問題ねぇだろうし、今から行くか)
ガルドはそう思い考えた後、自分の両頬を叩き気合を入れ、必要な荷物を持ち、虹色スミレを取る為に洞窟に向かった。