23話〜家出計画と気づかれる前に
ここはシェイナルズ城内のマグドの自室。
マグドは机の前の椅子に座って、神に選ばれた者の事を色々と考えていた。
(神に選ばれた者か……。一度でいいから会ってみたいのだが。さて、そうなると、この城の者達の目を盗み抜け出さなければならない)
そう考えながら一度は諦めかけたが、やはり神に選ばれた者の事が気になり何かいい案はないかと考えた。
そしてマグドは変装をして城を抜け出す事にし、手紙を書き自室の机の上に置くと、荷物を持ち城を抜け出した。
場所は移り、ここはティールの街の転職の神殿内にある天職と現職を調べる事が出来る水晶が置かれている部屋。
マリアンヌはユリィナに本当はここで何をしているのかと聞かれその訳を話し出した。
「私が、ここにいるわけは、城のある人の命により、特別な力や特殊な天職を持っている者を探す為、ここに派遣されたのです」
「そうなのですね。その城のある人とは、いったい誰なのですか?」
「ユリィナ。それは教える事は出来ません。しかし、つい先程別件で、ある者を探すように命じられたのですが。まさか、こんな所でドルマノフ様のお子様とお会い出来るとは思いもよりませんでした」
そう言うとビスカの両手をつかみ握り見つめた。
「あ、あ〜えっとね。あはは……はぁ。そんなに見つめられても、さっきも言ったと思うけど。私は大賢者になるつもりはないし、利用されるのは嫌なの!」
「マリアンヌ。それよりも、別件で人探しって、いったい誰を?」
「それは、そうですね。話しても問題ないでしょう。それは、神と契約した者を探せと命じられたのですが。ただ、あまりにも雲をつかむような事ですので、探し出せるかは不安なのです」
マリアンヌがそう言うとガルド達はたじろいだ。
「そ、そうなのですね。あっ!そうそう、ガルドにビスカ!そろそろ、転職しないとギルドの登録も遅くなっちゃうよ!」
「あ〜確かに、遅くなるなあ」
「そ、そうだね。確かに遅くなっちゃうね」
そう言うとマリアンヌは不思議そうに首を傾げ、
「あのぉ。何故そんなに動揺されているのでしょうか?まさか、その者の事をご存知なのですか?」
そう言うとガルド達は思いっきり首を横に振り、
「さ、さて、行くとするか。それとこれは、3人分の金だ!では行こうか……」
そう言うとガルドはマリアンヌに3人分のお金を払い部屋から出てその場を回避した。
しかし、その行動があまりにも変だった為に、マリアンヌは3人が何かを知っているのではと疑い、しばらくの間あとをつけ様子を見る事にした。