27話〜荷馬車の中での一時の会話{改}
あれからハクリュウ達は二手に分かれて行動していた。
クレイマルスとハウベルトとシャナとアリスティアは、ひとまずノエルを助ける為と、国の状況を確認する為ラウズハープ城に向かった。
そして、ハクリュウとクロノアとシエルとディアナとグロウディスは辺境の地へと向かっていた。
グロウディスの話を元に、奴隷たちを働かせ建物を造らせているという事が事実なのか確認するためと、
もしかしたらその建物を造らせていた人物がオルドパルスの可能もあるという事で、その事を調べるために向かっていた。
「グロウディス。ここから今、向かっている場所までの距離って結構あるのか?」
「ディアナ。そうだな、ここからだと少しばかり遠い。この荷馬車を急ぎ走らせても結構、時間がかかるとは思うが……」
「そうなると、どこかで野宿か宿をとるか、皆で交代で夜通し走らせるかになるな」
クロノアはディアナを見てから、
「ん〜、宿屋に泊まるのもいいけど、できればカジノとかがない街や村がいいかな〜。また、お金がなくなっても困るしな……」
「ク、クロノア様。あ、あれは……」
そう言うと慌てて取りつくろおうとしたが、それを見てハクリュウが、
「何かあったのか?もしかして、カジノで大金ぜんぶつぎ込んで負けたとか?」
「まあ、そんなところね。でも、そのあと私が取り返したんだけどね。だけどあのアリスティアが出てきて、お店は全壊してしまい」
一呼吸おき、
「金がなくなったうえに、街に戻れなくなり、仕方なく野宿しながら旅をし、ギルドに加入して仕事をし稼ぎ……」
そう言いながらクロノアはその時の事を思い出し、
「……って何で、私がこんな思いしなきゃならないのよ〜!思い出したら腹が立って来たんだけど」
すると、ディアナが申し訳なさそうな顔をしながら、
「全壊させたのは、確かにアリスティアですが、クロノア様があそこで身を引いていれば、あの様な事にはならなかったと思うのですが?」
「クロノア。まさかと思うけど、また深追いしたんじゃないだろうな!」
「あっ、えっと……あはははははは……」
クロノアは笑って誤魔化そうとしたが、
「あのなぁ。前から言ってるけど、お前はやりすぎなんだよなぁ。いい加減、状況を判断して行動しないと周りに迷惑かけるぞ!」
そう言いクロノアを怒った表情で見ると、
「じゃなくても、俺もお前と組んで何度も死ぬ思いさせられたからな!!」
「そういうハクリュウこそ、慎重すぎて何度もギリギリの戦い方をして、周りに心配かけ過ぎなのよ!もう少しフル活用してもいいと思うんだけど」
「なるほど、全く正反対の性格ってわけか。ハクリュウは慎重に行動するタイプ。クロノアは大胆に行動するタイプという事になるな」
グロウディスはそう言いながらハクリュウに視線を向けると、
「そして、ハクリュウ。お前は、俺から見ても確かに、慎重すぎる。付け加えるならお人好しってところか。だから、あんな所で騙されて……」
「ちょっと待て!あれは、グロウディスが先に騙されたんじゃないのか?それも……」
そう言おうとしたのをグロウディスは遮り、
「あっ、ごほん!あ、あれは……まあ、お互いに騙されたという事で……」
と、グロウディスは誤魔化した。
そして、ハクリュウ達は急ぎたいのを抑えて、ひとまず近くの街に立ち寄り宿をとり休む事にした。